2015年

11月

17日

WORLD WATCH:N.Y. 警官射殺事件が再発 銃制限の課題が露呈

 冷泉 彰彦(在米作家)


 ニューヨーク市警察の警官が射殺される事件が相次ぎ、現場の警官らが安全対策へのいら立ちを募らせている。

 10月20日には、マンハッタンの東ハーレム地区で33歳のランドルフ・ホルダー巡査が銃殺された。事件当時、巡査はパトロール中で、銃声があったという通報を受けて現場に急行したところ、いきなり頭部に銃弾を受けたという。逮捕された狙撃犯は30歳の男性。強盗や傷害、麻薬所持などの罪で10回以上の逮捕歴がある。俗に言う「ストリートギャング」であった。

 市警の警官が射殺された事件はこの1年で4人に達した。そのため市警では、今回の事件が、凶悪犯と遭遇した警官の不幸な事件では済まされない問題として認識されたようだ。10月28日に行われた巡査の葬儀には、1000人を超える警官が参列し、張り詰めた空気が漂っていた。

 今回の事件では、凶悪な相手に対して巡査が銃の使用をためらったことが、惨事を招いたとする声が現場から出た。市警が今年10月、警官による強硬な警備行動を抑制するため、警備の新ガイドラインを施行し、拳銃の使用を従来よりも制限していたからだ。ガイドラインの施行は、白人警官による無防備な黒人の射殺が米国で何度もあり、警官の銃使用への批判が高まっているためであった。だが、施行直後に早くも課題が露呈し、白人警官と黒人が衝突する人種間対立の問題と、警官の安全確保に関わる論争は新たな段階に入った。(了)

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2015年11月17日号

 

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