2015年

11月

24日

【世界を飛べ MRJ】日本の空港改革 民間活用で収益増と地方創生

関西国際空港の収益は改善するか(Bloomberg)
関西国際空港の収益は改善するか(Bloomberg)


 ◇2015年11月24日特大号

 ◇関空運営権売却は2.2兆円


 柿本与子

(ムーディーズ・ジャパン シニアアナリスト)


 国内空港の運営権売却(コンセッション)が活発化している。

 先行事例は、関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港である。両空港は現在、国が100%の株を保有する政府系発行体、新関西国際空港(NKIAC)が運営する。

 NKIACは、滑走路などの「航空系施設」や、ターミナルビルや商業施設などの「非航空系施設」の運営権を、同時に同一の企業に最低落札額2・2兆円で売却するために審査を進めていた。11月10日には、1次審査を唯一通過したオリックスと仏空港運営大手「バンシ・エアポート」の企業連合が、事実上、運営権を取得することが固まった。新運営会社は2016年4月にスタートする。

 関空と伊丹のコンセッションの成功は、空港の民間活用の実現への布石となる。

 空港の運営権を移管するという点では、兵庫県のコウノトリ但馬空港の例がある。兵庫県が管理していたコウノトリ但馬空港では、県が空港運営権を第三セクターの但馬空港ターミナルに与える契約を1月に結んだ。第三セクターが空港ビルと一体で運営することで年3億5000万円かかる維持管理費を期間中に4200万円削ることができる見込みだ。

 しかし、この例は小さな規模のため、2兆円規模の関空・伊丹の案件とは比較にならない。関空・伊丹の案件は、水道や道路など他の公共施設のコンセッションを含めても日本発の大規模案件のため注目度は大きい。さらに、関空と伊丹の運営には、今後、神戸空港が加わる可能性が高い。神戸空港の管理主体である神戸市は、関空・伊丹・神戸の3空港一体運営を目指しており、すでに神戸空港の運営権売却交渉に向けた準備を本格化させた模様である。早ければ今年度中に必要な条例を定め、コンセッションの実現を目指すとみられる。

 国土交通省は現在、国が管理するすべての空港でコンセッションの適用を念頭に置いている。関空に追随する可能性のある空港は20カ所以上に上る。このうち、すでにコンセッション実施を目指す動向があるのは、仙台、高松、福岡、新千歳、静岡、広島である(図)。

 仙台空港の運営権売却をめぐっては、9月に東京急行電鉄と前田建設工業などの企業連合が優先交渉権者に選ばれた。16年6月末に運営権が移管される見通しで、契約面では関空より先行しているといえる。

 国が管理する空港では...

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2015年11月24日特大号

 

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