2015年

11月

24日

【世界を飛べ MRJ】MRJはどこを飛ぶ? 徹底シミュレーション!!

中部国際空港(セントレア)(写真:毎日新聞社)
中部国際空港(セントレア)(写真:毎日新聞社)

 ◇日本の空をMRJが飛ぶ日 

 ◇2015年11月24日特大号


杉浦一機(航空アナリスト)


 日本のエアラインでMRJを発注しているのは、2017年から25機を導入(仮発注10機を含む)する全日本空輸(ANA)と、2021年から32機を受け取る日本航空(JAL)である。ANAとJALは当面、国内線での使用を想定しているが、どの路線に就航させるつもりなのだろうか。格安航空会社(LCC)のシェア拡大が確実視され、既存の2社は確実な収益確保が求められているなか、ANAとJALにとっては、利用率の向上による効率化が命題となる。

 米国では機材の小型化が功を奏し、主要エアラインの国内線平均利用率は80%を上回る。これに対して、日本では1970年代から、大空港での発着容量不足の解消のために機材の大型化が進み、地方路線では需要の大きさと使用する機材サイズとのミスマッチが解消されていない。近年は羽田空港の拡張で発着枠が増えて小型化が進み、改善される傾向にあるものの、14年の定期路線ではまだ年間利用率が66%(国土交通省発表)にとどまっている。なんと3分の1の座席が埋まらないのだ。

 小型化に不可欠な要因が乗員コストの低減だ。乗員・乗務員の人件費は、規制に守られ好業績を謳歌(おうか)していた時代に大きく上がり、大手の運航コストでは定員150席未満の機種で採算が取れず、大手は小規模市場を諦めていた。

「機材の小型化」は、エアラインの収益性向上に直結するだけではない。増便になれば、運航時間帯の選択肢が増えて利用者の利便性が向上し、需要が拡大する。このため、機材を小型化して運航便数を増やす「小型機による多頻度運航」が世界の趨勢(すうせい)になっている。

 しかし、近年のリストラ効果で100席未満の機種でも採算に乗るようになり、JALは子会社のジェイエアが、ジェット機にも76席のエンブラエル「E170」を16機、50席のボンバルディア「CRJ200」を9機使用している。

 一方で、ANAグループは、ジェット機の150席クラス「B737─700」「B737─800」や「A320」、126席の「B737─500」の下が、74席のプロペラ機、ボンバルディア「Q400」になってしまう。この間を埋めるためにMRJを発注したのだ。Q400はプロペラ機としては、最大巡航速度で時速667キロメートルと高速なので、短距離路線ではジェット機と所要時間に大差は出ないが、飛行時間が1時間を超えると、時速が約800キロメートルのジェット機との差は歴然とする。

 MRJには、78席の「MRJ70」と92席の「MRJ90」の2シリーズがある。それぞれ標準型(STD)、航続距離延長型(ER)、長距離型(LR)が用意されている。標準型90STDの航続距離は、札幌─福岡間に相当する1670キロメートルである。90LRは、札幌─那覇間2418キロメートルを大幅に上回る3310キロメートルである。

 また、離陸に必要な滑走距離は、1490メートル(90STD)から1740メートル(90LR)だ。着陸必要距離はいずれも1480メートルだが、国内の離島を除く地方空港でも滑走路は現在2500メートルが標準になっているので十分だ。

 最大の売りは、燃料消費が現有機種より約2割少ない経済性だ。これまでは採算がネックになっていた小規模市場の開拓や、「多頻度運航」も可能になる。ただし、沖縄など観光中心の路線では、運賃の安さが重要な要素なので、便数が少なくとも輸送力の大きいB737(国内線126~188席)の方が有利だ。

 

 ◇可能性(1) 基幹都市←→中核都市

 

 ANAとJALを念頭に、MRJの就航路線を想定してみよう。

 まず考えられるのは、直行化したり、頻度を増すことである。東京線ほど市場は大きくない大阪(伊丹空港)、名古屋(中部国際空港)、札幌(新千歳空港)、福岡空港の基幹都市と、地域の中核都市を結ぶビジネス路線だ。

 候補としては、伊丹─旭川(距離:1320キロメートル、14年度全社平均利用率:47・8%)、伊丹─青森(946キロメートル、59・5%)、中部─女満別(1368キロメートル、54・6%)、中部─仙台(657キロメートル、53・9%)、新千歳─新潟(755キロメートル、48・2%)、新千歳─福島(720キロメートル、48・2%)などが考えられる。

 ちなみに、関空─秋田線を例にとれば、B737では年間1・65億円の赤字が、MRJに置き換えると同じ利用率でも1・41億円の黒字に転換するとの試算(三菱総合研究所07年)もある。

 

 ◇可能性(2) 地方空港←→国際空港

 

 次に考えられるのは、...

 

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 ◇可能性(2) 地方空港←→国際空港

 ◇可能性(3) 地方空港←→地方空港

 ◇可能性(4) 乗り継ぎから直行便

 ◇可能性(5) 不便な経由の解消

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この記事の掲載号

2015年11月24日特大号

 

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