2015年

11月

24日

【FinTech】世界で8兆円超の個人間融資 拡大するフィンテック市場

レンディング・クラブのルノー・ラプランシュCEO
レンディング・クラブのルノー・ラプランシュCEO

 ◇2015年11月24日特大号


長谷川克之

(みずほ総合研究所市場調査部長)


 フィンテックの中でも既存金融機関にとって最も脅威となりつつある事業領域の一つが「マーケットプレイス貸し出し」だ。伝統的な金融機関を介さず、資金の貸手が借り手の属性、格付け、資金使途等に基づきインターネット上で融資判断を行う。かつては「ソーシャルレンディング」とも言われたそのビジネスモデルは、05年に英国の金融サービス業者Zopa(ゾパ)が創始したとされ、既に10年の歴史がある。

 15年のマーケットプレイス貸し出しの融資実行額は世界全体で700億ドル(約8兆6000億円)以上になり、昨年から倍増するとの見方が有力だ。米モルガン・スタンレーは、マーケットプレイス貸し出しは年率50%超で拡大し、20年までに2900億ドル(約35兆7000億円)になると見込む。将来的に金融業のメインストリームの一角を占めるとの見方も浮上している。

 業界最大手の米レンディング・クラブ社は07年に創業、14年12月にニューヨーク証券取引所(NYSE)に株式を上場している。時価総額は上場直後に100億ドルを超えた。同社の投資家向け説明資料によれば、15年4~6月期の貸し出し実行額は19億ドルに達し、前年同期の1・9倍、前々年同期の4・3倍に急拡大している。取締役には元財務長官のローレンス・サマーズ氏、元モルガン・スタンレーCEOのジョン・マック氏などが名を連ねている。

 レンディング・クラブ社では、資金を借りたい人が資金使途、収入、クレジットスコア(クレジットカードの返済履歴などに基づく信用情報)などを登録し、サイトを通じて投資家から資金を募る。借り入れの上限額は一般的には3万5000ドルに設定されている。

 資金を調達する人は、消費者金融からの借り換えが多いと言われている。レンディング・クラブ社によると、米銀からのクレジットカードローンを同社で借り換えした場合、平均的な借入金利は借り換え前の21・8%から14・8%に下がるという。

 一方、貸手となる投資家にとっての魅力は金利の高さだ。米銀の預金金利がほぼゼロであるのに対して、同社を通じて直接借り手に貸し付けすれば平均8・2%で運用が可能と言う(図)。

 レンディング・クラブ社と並びトップ企業とされるのが、学生ローンの借り換えに強みを持つ米ソーシャル・ファイナンス社である。15年初に大手の投資顧問会社、ヘッジファンドなどから2億ドルを調達して注目を集め、10月1日には日本の...

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2015年11月24日特大号

 

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