2015年

12月

01日

インタビュー:神戸連続児童殺傷事件・被害者遺族 土師守さん 2015年12月1日号

 ◇「犯罪による利益は許されるのか」


 神戸連続児童殺傷事件の加害者が「元少年A」の名前で出した手記『絶歌』。表現の自由の名の下で、再び苦しめられている被害者遺族、土師(はせ)守さん(59)に心境を聞いた。
(聞き手=酒井雅浩・編集部/飯田憲・毎日新聞社会部)

 

 加害者の手記は6月に出版され、その後もホームページの開設(9月)や、有料ブログを始めた(10月)と報じられた。いずれも直接見ていないが、「表現の自由」以前の問題だ。規制を受けない自由はない。加害者が被害者の了解を得ず、被害者や遺族をさらに苦しめるのは許されるべきではない。そんな権利はないはずだ。
 2004年の医療少年院の仮退院時に、矯正教育の「成果」について、法務省から説明を受けた。「内省が深まった」という彼の状態を、「本当だろうか」と思って聞いていたが、その感覚は間違っていなかったということが、今回の行動でよくわかった。

以前から、「報酬目当ての手記は絶対に出版してほしくない」と訴えてきた。少しでも贖罪(しょくざい)の気持ちがあったら、こんなことはできないはずだ。医療少年院は治療・教育であり、刑罰ではない。「治療」ということが行われていたとしたら、この結果を見て成功したと思う人はいないはずだ。
 再び凶悪事件を起こすかどうかという問題ではない。彼が本当に更生したかどうかの判断はとても難しく、保護観察期間が過ぎた後も、何らかの方法で経過を追ってほしいと思っていた。結果として失敗したことを、法務省など彼の「更生」に関わった機関、人間が真摯(しんし)に受け止め、検証してほしい。………

この号の掲載号

週刊エコノミスト 2015年12月1日号


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