2015年

12月

01日

相続増税の新常識:マイナンバーで税務調査どう変わる? 2015年12月1日号

◇相続税の税務調査は効率アップ 預貯金口座の捕捉も容易に


武田秀和

(元国税調査官、税理士)

 

 相続税の申告から1年~1年半後。被相続人(亡くなった人)の遺品の整理も終えて一息ついたころ、税務署から突然連絡が来ることがある。それが相続税の税務調査の始まりである。相続税の申告漏れのうち最も多いのは「現金・預貯金」で、有価証券などを含めた金融資産の申告漏れ金額は約半分を占める。裏返せば、それだけ現金や預貯金は、税務調査の重点的な調査対象になる。来年1月からはいよいよ税や社会保障などの分野で「マイナンバー」の利用が始まり、2018年からは預貯金口座にもマイナンバーがひも付く。相続税の税務調査はマイナンバーによってどう変わりうるのか。
 今年1月から相続税の基礎控除が4割引き下げられ、相続税の課税対象となる被相続人の数は5割以上増えると見込まれている。一方、国税庁は例年、相続税の課税対象となった被相続人の約4分の1に対し、税務調査を実施している。課税対象となる被相続人が増えれば、それだけ税務調査を受ける可能性も高まっている。国税庁が11月9日に発表した14事務年度(14年7月~15年6月)の相続税の税務調査実施状況によれば、申告漏れで最も多いのは現金・預貯金の35・7%。次いで、株式など「有価証券」が15・1%を占めている。

 現金・預貯金は土地など他の財産に比べ、多くの人が「隠しやすい」と感じているのかもしれない。しかし、そうであるからこそ、現金・預貯金は税務調査で最も力を入れて調べられる対象だ。調査官は申告書の提出を受け、被相続人や相続人の所得税の申告書など過去に国税内部で収集したさまざまな資料情報に加え、被相続人や相続人の預金口座に不審な動きがないかどうかなど、徹底して調べたうえで調査に踏み切っている。国税内部で収集された資料情報は、国税庁の納税者データベース「国税総合管理(KSK)システム」で管理されている。
 また、税務調査を受けた場合、かなりの高い確率で申告漏れを指摘される可能性を覚悟する必要がある。14事務年度の相続税の調査の実績を見ても、調査の件数1万2406件に対し、実に81・8%という高い割合で申告漏れを指摘されている。………

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この号の掲載号

週刊エコノミスト 2015年12月1日号


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