2015年

12月

01日

相続増税の新常識:教育資金の贈与非課税の誤解 2015年12月1日号

服部誠

(税理士法人レガート代表社員、税理士)

 

 子や孫世代へ早期の財産移転を促そうと、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与を非課税とする特例が設けられた。例えば、教育資金では子や孫1人当たり1500万円までが「非課税」とされ、一見すると相続財産を減らす効果が大きいように思える。しかし、そもそも教育資金や結婚・子育てにかかるお金は、その都度の贈与であるならば金額に制限なく非課税だ。また、一括贈与の非課税特例を使った場合、中途の解約は認められず、一定年齢時において使い残したお金には贈与税がかかってしまう。一括贈与の特例を使う際には、「非課税」という言葉に惑わされず、贈与のし過ぎなどに相当な注意が必要になる。

 今年1月からの相続増税に先立ち、2013年4月から始まった「教育資金の一括贈与」非課税制度。当初は今年末までの時限措置だったが、利用が多いために政府は18年度末までの延長を決定した。信託銀行などが加盟する信託協会によると、今年9月末現在の契約件数は14万1655件、契約額は9639億円にのぼる。今年4~9月も約2万3000件の契約があり、利用は衰えていないようだ。また、教育資金一括贈与の非課税制度の人気を受け、今年4月からは子や孫1人当たり1000万円(結婚は300万円)までの贈与を非課税とする「結婚・子育て資金の一括贈与」の制度も始まった。

 贈与税とは、個人が親族や第三者(個人)から財産をもらったときにかかる税金だ。その際、年110万円までの贈与は非課税であることはよく知られている。1500万円を一括で贈与されると贈与税額は450万5000円(20歳以上の子や孫への贈与なら366万円)、1000万円を一括で贈与されると贈与税額は231万円(同177万円)にもなるため、これらが「非課税」となることにメリットを感じる人も少なくない。しかし、そもそも子や孫への教育費や生活費の贈与は、必要なときにその都度、贈与するのであれば、金額に制限なく非課税だ。………

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この号の掲載号

週刊エコノミスト 2015年12月1日号


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