2015年

12月

01日

経営者:編集長インタビュー 葉田順治 エレコム社長 2015年12月1日号

◇生活と仕事の場を快適に変える

 

 1986年、家電量販店を販路とするオフィス家具メーカーとして大阪市都島区に設立。現在の取扱商品は、マウス、USBメモリーなどのIOデバイス(入出力装置)のほか、スマートフォン(スマホ)などのデジタル機器に対応するアクセサリー、周辺機器、無線LANルーターなどのネットワーク製品、ヘルスケア製品など多岐にわたる。

 2015年3月期は連結売上高757億8500万円、営業利益81 億4200万円を計上し、2期連続最高益となった。

── 企業理念を教えてください。

葉田 「ライフスタイル・イノベーション」をコンセプトに掲げ、いろいろな機器で変革を起こして、ビジネスや家庭での場を快適にしていきたいと考えています。

 商品がパソコン周辺機器であるという意識はもともとありません。創業当時からパソコンやスマホは、いつかはなくなるものだと思っています。トレンドをいち早くつかんで、商品を提案していきます。オリジナルデザインの商品をいかに使いやすく、リーズナブルに提供していくかがポイントです。

── 2期連続過去最高益を更新しました。

葉田 マウスやキーボードなどのUSB機器が売り上げを牽引しています。しかし、2期連続というのは結果でしかありません。その分、過去に失敗をし、経験を積んできました。真摯にやり続けたことと、緊張感を持って取り組んだことがよかったのかもしれません。

── 商品点数は約1万7000点で、3~4年で多くが入れ替わるそうですね。

葉田 商品を早く回転させるために精緻な情報システムをつくっています。システムは20年くらいで築き上げました。生産はファブレス(外部の協力企業に委託)で行います。

 商品の販売チャンネルとしては、今後、訪日外国人向けのディスカウントストアなどに伸ばしていきたいと考えています。それぞれのお客様に最適な方法で販売します。

── 強みを教えてください。

葉田 商品がとことん使えるまでお客様をサポートすることです。私たちは品質管理のノウハウを持っています。小さなトラブルも徹底的に原因を追究します。

── 社内に活気があります。

葉田 従業員はグループ会社を合わせて約800人です。若い世代が元気です。特に、営業部門はくじけずに頑張っています。

 毎週月曜日の7時15分から行う役員ミーティングでは、現状報告から、問題やクレームの対応に至るまで議論し合います。

 

 ◇ヘルスケア分野にも進出

 

── 今、注目している分野は。

葉田 人工知能、自動運転、IoT(あらゆる機器をインターネットでつなぐ技術)、インダストリー4・0(第4次産業革命構想)などに着目しています。その中に組み入れられるような機器をつくる構想を描いています。

 機械などに組み込まれるコンピューターシステムである組み込み用PCについては、工作機械用のほか、産業用まで取り扱いを広げていきたいと思います。

── 今後の展開は。

葉田 コンセプトであるライフスタイル・イノベーションのほか、ヘルスケア関連、海外ではハイレゾリューション・オーディオ(CDより高音質な音源に対応した音響)に力を入れていきたいと思っています。

 ヘルスケア関連では、目を覆わずに目のツボを刺激できるバンド型のケア製品が売れました。チャレンジできること、開拓できる分野がまだたくさんあるとわかったので、幅広い製品をつくっていきます。

 ハイレゾリューション・オーディオは、音響のライフスタイルに変革を起こすような商品を開発したいと考えています。

── M&A(合併・買収)の構想は。

葉田 07年にドイツの周辺機器メーカーのエドネットアーゲーを買収して大失敗した経験から、同業他社ではなく、技術、製品ラインアップ、販路などを足していくという考え方でM&Aを進めています。

 まず、04年にロジテックを買収しました。同業他社だったのですが、カスタムPCやデータを修復、復旧するデータリカバリーなどへ事業シフトさせることに成功しました。

 11年にはハギワラシスコムから事業の一部を譲り受け、ハギワラソリューションズを設立しました。産業機器向けフラッシュストレージ(記憶媒体としてフラッシュメモリーを用いるドライブ装置)のほか、ハードディスクドライブなどが突然故障して使えなくなるトラブルを未然に防ぐ危機管理製品も扱っています。

 14年に買収した日本データシステム(JDS)は、産業用の組み込み用PCなどに特化しており、産業機械分野への進出をより活性化することができました。

── これからの事業目標は。

葉田 現在、アジアを中心に商品を展開していますが、もっと海外に進出していきたいと考えています。海外で自社ショップを展開するのが目標です。

 (Interview 金山隆一・本誌編集長、構成=丸山仁見・編集部)

 

◇横顔 

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

A 会社を立ち上げて、事業にまい進していました。

Q 最近買ったもの

A 時計です。先日、訪れた台湾で2本買いました。

服や家具、照明なども自分の美学に合ったものを買い

ます。

Q 休日の過ごし方

A 読書をしたり、ジムやゴルフに行ったりして過ごして

います。ほとんど家にいることがありません。

 

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■人物略歴

◇はだ じゅんじ

大阪府出身。1972年甲南高校卒業。76年甲南大学卒業、製材業に携わった後、86年にエレコムを設立し、取締役に就任。92年常務、94年6月専務、94年11月より現職。62歳。

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この記事の掲載号

週刊エコノミスト 2015年12月1日号


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