2015年

12月

01日

緊急特集:パリ同時多発テロ 米12月利上げ後ずれの可能性 2015年12月1日号

◇金利低下、米株上昇、円高誘発

 

黒瀬浩一

(りそな銀行チーフ・マーケット・ストラテジスト)

 

 パリ同時多発テロを受け、フランスでは非常事態が宣言され、旅行のキャンセルが相次ぐなど経済への悪影響が世界に広がることが懸念されている。

 これは当然ながら、米国の金融政策にも影響する。米国の金融政策は世界に及ぼす影響が大きいため、市場関係者の多くが12月を想定している利上げが後ずれする可能性もあるだろう。
 パリでのテロ後も、FFレート先物は12月の利上げの織り込み度合いに変化はないが、1年後までの利上げぺースはやや低下した。これを受けて、長期金利もやや低下、株価は上昇、円相場は円高に振れた。
 このようなことから、もし米国の利上げシナリオが後ずれした場合、米雇用統計がネガティブサプライズだった8月や9月の雇用統計発表と同様に、今後更なる長期金利低下、米国株価上昇、そして円高を誘発する可能性がある。


◇テロ封じ込めはできる


 ただ、米国株式相場に牽引(けんいん)され、世界の株式相場も、総じて堅調に推移している。この背景は、市場参加者が近年たびたび発生したテロ事件で、過剰反応するのが得策ではないことを学んだ学習効果が大きいと考えられる。多くのテロ事件では、発生直後に不安心理の台頭で株式などリスク資産の相場が下落することがあっても、ごく短期間の調整後にV字回復するパターンが繰り返された。

 これには二つの理由が考えられる。
 一つは、米国を中心に先進国が協調して対応すれば、国内でのテロは封じ込めが可能と見られることだ。その具体的手段は、通信傍受、テロ資金源の遮断、テロリスト情報の共有などだ。……

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この号の掲載号

週刊エコノミスト 2015年12月1日号


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