2015年

12月

01日

【Economist View】独自の育種技術と資源を駆使し さらに価値ある200年企業へ 2015年12月8日特大号

(写真)子どもたちが喜んで食べるような野菜をもっと作っていきたいと話す、瀧井傳一社長

創業180年を迎えたタキイ種苗


1835(天保6)年から、京都で優良種苗を採取し分譲を始めたタキイ種苗。以来、品種改良技術を生かし、地域ごとの気候風土に合った品種の開発や種子の安定供給に力を注いできた。節目となる180周年を迎え、日本の食と農業にさらなる貢献をしていきたいという瀧井傳一社長に聞いた。


◇ファイトリッチなど付加価値の高い野菜を開発し安定供給


 トマトのトップブランド「桃太郎」の開発をはじめ、常に種苗業界をリードしてきたタキイ種苗。180周年を迎え、瀧井傳一社長は、「品質や信用を守りながら、より良い種子の安定供給によって社会に貢献するのがこれからも私たちの使命」と話す。


 海外にもいち早く目を向け、現在は世界13カ国に拠点を設けてアジア、北米、欧州、南米の4極体制となる販売ネットワークを構築し120カ国以上に輸出している。「F1品種」のパイオニアとしても知られるタキイ種苗。性質の異なる原種を掛け合わせ、双方の優れた性質を併せ持つ品種で、1950年、同社が世界で初めてキャベツとハクサイのF1品種を開発した。日本の農業と食生活の向上に大きく寄与し、今では各社から販売されている。

 近年大きな注目を集めているのが、リコピンやカロテンなどの機能性成分を多く含む野菜「ファイトリッチ」だ。2010年に7品種でスタートし、現在はトマトの「桃太郎ゴールド」、ニンジンの「京くれない」、ピーマンの「こどもピーマン」など15種類に拡充。「味が良く豊富な機能性成分で付加価値が高まれば、価格帯が上でも消費者に選んでいただけ、農家の収入安定にも貢献できます」

 その一方で京都の「伝統野菜」を守ることにも注力している。京都には個性豊かな色や形、味、香りを持つナスや大根、ネギ、唐辛子などの伝統野菜があり、「幅広い世代に京野菜の良さを伝え、農業にもプラスになれば」と瀧井社長は思いを込める。

 2005年には、世界最先端の分子育種研究を行っているオランダの「KeyGene社」と研究提携。従来の100倍というDNAマーカー解析により、遺伝子組み換えに頼らず、通常10年以上かかる育種をわずか3年で可能とした。

 また品質管理センターにおいては、発芽や成苗、病害、純度検査など、年間15万点に及ぶ厳しい検査を実施。瀧井社長は、「視察した海外のお客様からも、タキイの品質と価格に納得がいったという言葉をいただいています」と自信をうかがわせる。

味の良さと豊富な機能性成分で高い評価と人気を得ている野菜「ファイトリッチ」


 次なる200周年に向け新たな歴史を刻み始めたタキイ種苗。「人と技術を次へとつなぎながら、日本の食と農業を元気にするという目標に向かい、さらなる発展を目指したい」と瀧井社長は熱く語る。


同社の商品や技術などはホームページ(http://www.takii.co.jp/)で詳しく紹介されている。