2015年

12月

15日

規制改革:シェアリングエコノミーは広がるか

 ◇「民泊」と「ライドシェア」の行方

 ◇2015年12月15日号


磯山友幸

(ジャーナリスト)


 10月20日、首相官邸4階にある大会議室で、国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)が開かれた。安倍首相が「規制改革の突破口」と位置付ける特区の指定や、特区で取り組む事業の認定、規制改革項目の追加などを行う「改革の司令塔」である。

 会議は議長である安倍首相の発言で締めくくられるが、この日も発言を前にテレビカメラや新聞記者などメディアの入場が許された。

 

 ◇首相発言の狙い

 こうした会議での首相の発言は重い。事務方は「首相に何を言わせるか」で時につばぜり合いを演じる。かつては、霞が関が用意したペーパーと、民間議員が中心になってまとめたペーパーが首相の前に同時に出されたこともあったという。メディアの前での首相による“公式”発言が、その後の政策の流れを大きく左右していくからだ。

 この日、安倍首相はこう語った。

「旅館でなくても短期に宿泊できる住居を広げていく。過疎地等での観光客の交通手段として、自家用自動車の活用を拡大する。(中略)石破(茂)担当大臣と民間有識者の皆様には、引き続き、規制改革メニューの大胆な拡大と指定区域の追加について、精力的なご議論をお願いしたい」

 前者の「宿泊できる住居」とは、今急速に広がりつつある一般の民間住宅を使って宿泊施設にする「民泊」のこと。後者の「自家用自動車の活用」とは、自家用車を使って有償で人を運ぶ「ライドシェア(相乗り)」のことを指している。ともに、個人が相互にサービスを提供する「シェアリングエコノミー(共有型経済)」と呼ばれる新しいビジネス形態の代表格である。安倍首相は経済成長の起爆剤として、シェアリングエコノミーの活用を打ち出したわけだ。

 首相にここまで踏み込んで発言させたのは、官邸改革派の勝利とも言えた。特にライドシェアについては、………

この号の掲載号

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週刊エコノミスト 2015年12月15日号


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