2015年

12月

15日

銀行の破壊者 フィンテック:ブロックチェーンって何?

 ◇電子上の取引履歴を残す「台帳」
 ◇決済も取引の記録も低コストで実現

木田幹久

(三菱総合研究所主席研究員)


 ブロックチェーンは、ビットコインというネット上の決済の取引の履歴を記録する“台帳”として2009年に登場した。この台帳を「ブロック」と呼び、取引履歴を追加していく仕組みが「チェーン(鎖)」でつなげるようであるため、ブロックチェーンと呼ばれる(図1)。

  ブロックチェーンは、技術的には三つの特徴から構成される。

1.ブロックの作成

 100~1000件の取引情報を一つのブロックにまとめ、ネットワーク上で分散して保持する。取引履歴が分散して保持されているので、二重払いや取引の不正な複製があったとしても、不整合を判明できる。次のブロックを作成する際には、新たな取引情報の要約を暗号技術を使って生成する。

 

2.プルーフオブワーク

 管理者のいない仕組みの中で、誰もがブロックを作成できてしまうと、取引の改ざんが行われる可能性が高まる。それを防ぐために、ブロック生成にはブロックを特徴づける数字(ノンス)を膨大な計算で算出することが必要となる。この仕組みを、「プルーフオブワーク」と呼ぶ。

 

3.マイニング

 プルーフオブワークを経て、ブロックを作成した人には報酬が与えられる。ノンスの発見には、より多くの計算能力(高性能な計算機)を保有している人ほど有利であるが、計算には確率的要素が含まれるため、必ずしもそのような人が最初に発見するとは限らない。このような仕掛けが存在するため、計算競争を金の採掘になぞらえてマイニング(採掘)、その参加者をマイナー(採掘者)と呼ぶ。

 

 ◇コストゼロの決済


 ブロックチェーンが生み出された背景には、ネット決済の広がりに伴うトラブルの増加がある。

 代表的なトラブルとしては、ネット上での買い物やオークションで代金を払ったにもかかわらず商品が届かないことが挙げられる。ネット決済では、信頼できる第三者組織として仲介者や管理者が間に入るが、仲裁にはコストや時間がかかる。そのコストは、あらかじめ決済時に上乗せされている。また、トラブル発生のリスクを低減させるために取引額に上限を設定し、自由な決済が制限されることがある。

 そこで第三者組織を必要とせず、当事者間のみで決済ができる仕組みとしてビットコインとブロックチェーンが発明された。この発明により、従来必要であった手数料は低減し、低コストまたはコストゼロで決済が実現できる可能性が示された。

 また、ブロックチェーンは中央集中型ではない分散型ネットワークで、誰もが自由に記帳し利用できるのも特徴だ。独自の「経済圏」や取引グループを構築できることが示唆され、結果的に既存のビジネスの仕組みを変える可能性を秘めている。

 

 ◇株にも相続契約にも


 決済に始まり金融、そしてそれ以外の分野でブロックチェーンの応用が検討されている。それらは、三つの世代に分類できる。

第1世代:決済を中心とした金融分野

 ブロックチェーンを使った決済サービスとしては、ビットコインが代表である。他にも、ビットコインから派生した仮想通貨は全世界で600数種ある。流通量は約55億ドル(約6700億円)で、そのうち約49億ドルがビットコインである。

第2世代:決済以外の金融分野への応用

 金融分野ではさまざまな取引が行われており、決済以外にもブロックチェーンが活用できる可能性が多く存在する。

 例えば、………

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週刊エコノミスト 2015年12月15日号 表紙 銀行の破壊者 フィンテック

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