2015年

12月

15日

【銀行の破壊者】金融ビジネスを伸ばすフィンテック 破壊するフィンテック

ドーシー氏が創業したスクエアは米国の金融を変えた(Bloomberg)
ドーシー氏が創業したスクエアは米国の金融を変えた(Bloomberg)

 ◇金融機関への影響度

 ◇2015年12月15日号


淵田康之

(野村資本市場研究所研究理事)


 フィンテックは、既存の金融ビジネスをどう変えるのか。五つに分類すると理解しやすい。

 1点目は、金融ビジネスを支援するフィンテック(図①)である。資産管理ソフトや人工知能(AI)など、既存の金融機関が注目し、導入を競っているフィンテックがこれに分類される。既存の金融ビジネスに脅威を与えるというよりも、支援することが期待されている。

 2点目は金融取引手段を変革するフィンテック(②)である。例えば、スマートフォンやタブレット端末などを使った新たな金融サービスだ。スマホやタブレットに特化したモバイル専業銀行や、パソコンやスマホでユーザーの質問に答えてポートフォリオを助言してくれる安価な投資サービス「ロボ・アドバイザー」がこれに分類される。既存の金融機関にとっては低コストで使い勝手のいいモバイル専業業者の登場は脅威となりうる。その一方で、既存の金融機関自らがスマホ・タブレット向けの顧客接点(モバイルチャネル)を強化することで対抗できる。

 3点目は、金融ビジネスの一部代替(③)である。送金・決済、「オンライン・レンディング」と呼ばれる融資分野などで、既存の金融機関への影響はより大きい。一部の機能とはいえ、フィンテックが銀行に代わる状況が生まれるからである。

 4点目は、銀行でも証券会社でもない主体がインターネットを通じて個人からおカネを集め、これで投融資するという新たな金融仲介(④)である。おカネの借り手と貸手のマッチングを行う「マーケットプレース・レンディング」や、起業家と出資者を結びつける「クラウド・ファンディング」など、新たな金融仲介の誕生とも言えるインパクトを持つ。

 5点目は、金融インフラを含む変革を起こすフィンテック(⑤)である。ビットコインを生み出したブロックチェーンという技術がそれである。その影響は最も大きい。コイン(暗号通貨)の所有者情報や変更履歴を集中管理するような特別な機関を必要とせずに、送金・決済が可能となるためだ。これを応用すれば、金融・証券取引は、そのインフラから見直されていく可能性がある。………

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この記事の掲載号

週刊エコノミスト 2015年12月15日号 表紙 銀行の破壊者 フィンテック

週刊エコノミスト 2015年12月15日号


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