2016年

1月

05日

ミャンマー:「スーチー大統領」の可能性も浮上 2015年12月29日・2016年1月5日合併号

◇複数が下馬評

 

工藤年博

(政策研究大学院大学教授)

 

 2011年の民政移管後初めて実施された2015年11月8日のミャンマー総選挙は、アウンサンスーチー氏率いる最大野党、国民民主連盟(NLD)が圧勝した。

 同国の選挙管理委員会が11月20日に発表した開票結果によれば、NLDは改選議席491議席中、8割に相当する390議席を獲得。テインセイン大統領が党首を務める連邦団結発展党(USDP)の42議席を大きく引き離し、軍人枠を含めた全657議席の過半数を上回った。
 NLDは今後、政権の座につき、ミャンマーの「民主化」を進めていくことになる。
 選挙の当選者は、現職議員の任期の切れる16年1月末前後に議員に就任する予定だ。それを受け翌2月にも新議会が招集される見通し。その後、新議会での投票を通じて新大統領が選ばれる。新大統領は3月末までには組閣作業を終え、新内閣を発足させるだろう。現大統領の任期が3月末までとなっているからだ。
 選挙で過半数の議席を獲得したNLDは、単独で大統領を選出できるようになった。

 ミャンマーの大統領は、上下両院と国軍議員がそれぞれ選んだ計3人の候補のなかから、全議員の投票を通じて選ばれる仕組みだ。次点、次々点の候補は副大統領になる。つまり民選の上下両院の議席の過半数を獲得したNLDは、大統領と副大統領の計3人のうち、大統領と副大統領1人のポストを確保したわけだ。

 大統領候補には、すでに複数が下馬評に挙がっている。
 地元メディアでは、現大統領の経済顧問をはじめ、投資委員会の委員や商工会議所連盟のアドバイザーを務めるなど、経済政策に深く関与してきたアウントゥンテッ氏や、89歳の高齢ながらNLD結党メンバーの一人であるティンウー元陸軍司令官らが取りざたされる。
 しかし、いずれが有力かはまだ判明せず、スーチー氏の頭のなかにしか答えはない、というのが現状だ。
総選挙後の15年12月2日には、スーチー氏がテインセイン大統領やミンアウンフライン国軍司令官と面会。さらに同4日には旧軍事政権トップのタンシュエ元議長とも会った。かつて激しく対立してきた両者が「和解」したことで、国軍が政権移譲を認めることは確実になった。大統領候補についても話し合ったと見られる。……