2016年

1月

05日

世界経済総予測2016 アップルvs中国メーカー 2015年12月29日・2016年1月5日合併号

◇スマホでも激突

◇新興国開拓で火花散らす

 

山根康宏

在香港ジャーナリスト)

 

「iPhone(アイフォーン)6」が爆発的にヒットし、その後もスマートフォン市場で存在感を示す米アップル。同社が2015年10月に発表した第4四半期(7~9月)決算では、総売り上げは515億ドル、純利益は111億ドル、アイフォーンの販売台数は4804万台で、いずれも第4四半期の業績として過去最高を記録した。
 だが、アップルにとって脅威となる勢力が、市場規模の大きい中国内から生まれている。スマートフォン市場でも米中が競い合う新時代に突入した。

 

◇新興国を席巻するシャオミ

 

 その筆頭がシャオミ(小米科技)だ。同社は「中国のアップル」と呼ばれることがあるが、それは実態を全く表していない。CEO(最高経営責任者)のレイ・ジュン氏のカリスマ性は、アップルの元CEO、スティーブ・ジョブズ氏(故人)と重なるところは確かにあるだろう。
 しかし、シャオミの躍進はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を駆使して自社製品のファン層を広げていった結果がもたらしたものだ。また、同社のスマートフォンは一流メーカーの部品を使い、高性能ながらも価格が安い。アップルが不得意とする低価格モデルを立て続けに発売し、創業4年で世界シェア4位となった。
 シャオミの製品は中国、インド、インドネシアなど人口の多い新興国を主な市場としている。アイフォーンが買いたくても買えない消費者に安価で性能が良い製品を提供し、販売数アップと製品浸透を図っているのだ。
 米調査会社ガートナーによると、15年7~9月の世界のスマートフォン総販売台数は3億5284万台で、そのうち新興国・途上国は2億5970万台と全体の7割を占めた。
 先進国では既にスマートフォン需要は一巡し、今後は買い替え需要が主流となることから販売数の大きな伸びは期待できない。つまり、シャオミが新興国を主戦場にしているのは理にかなっているのである。そして先進国の需要の伸び悩みは、アップルにとっては今後のダメージになりかねない。
 低所得者が多い新興国では、アップルが考える以上にスマートフォンの価格下落が進行している。シャオミが15年11月に発売した「紅米Note3」は、同年9月に発売された「アイフォーン6sプラス」と画面サイズ、カメラ性能、金属製のボディーなど、ほぼ同じながら999元(約2万円)と3分の1以下の価格だ。
 もちろん本体の細かい仕様などはアイフォーンの方が上だ。だが、新興国の消費者はそれだけの価格差を払ってアイフォーンを買うだろうか。インドなどでは「100ドルスマートフォン」を地元メーカーが出しており、学生らに人気だ。今では1万~2万円のスマートフォンが、新興国や途上国ではあふれかえる。
 新興国市場のスマートフォン需要が旺盛なことを考えると、シャオミはしばらく先進国市場には進出しないだろう。だが、これからの成長市場である新興国ではシャオミの勢力が増し、アップルの進出を阻止する存在になるかもしれない。……