2016年

1月

05日

世界経済総予測2016 欧州の知 ジャック・アタリ氏インタビュー

◇「欧州経済にテロの影響はない」

 

 フランスの経済学者で欧州復興開発銀行の初代総裁を務めたジャックアタリ氏=写真=が、経済・ビジネスのシンポジウム「カンパニーフォーラム2015」で来日し、インタビューに応じた。

(聞き手=藤枝克治・編集部)

 

── パリのテロで欧州経済への影響は。
■フランスはこれまでも多くのテロを経験してきた。例えば1983年(高速鉄道TGVとマルセイユ駅を狙ったテロで5人が死亡)、86年(9月にパリ市内で連続テロが起き死傷者多数)などだ。それでも経済は成長してきたし、観光客は世界中から訪れている。
── だが、テロが頻発すれば深刻なダメージを受けるのでは。
■そうは思わない。米国でもロシアでも、テロは世界中で起きている。欧州だけがテロの標的ではない。確かに戦争状態になれば観光に多少影響はあるかもしれない。そうだとしても他の主要産業に大きな影響はないだろう。
 また、不幸なことではあるが、戦争になればウォー・エコノミー(戦時経済)として経済にはプラスの面もある。政府は債務を増やして軍事費など投資に充て、軍関係の雇用も増える。
── 欧州では難民の流入が大きな問題だ。
■まず、難民と移民を区別して考える必要がある。政治的な難民については、欧州連合(EU)は受け入れる義務がある。その人数が例えば100万だと聞くと、とても多いと思うかもしれないが、5億人というEU全体の人口からすれば0.2%に過ぎない。すでに欧州には何百万人ものイスラム教徒が住んでいる。彼らが否定的に見られているわけではなく、欧州社会にしっかり統合されて生活している。
 一方で、欧州でも米国でも、大衆迎合的な動きが出てきていて、難民、移民、イスラム教徒をごっちゃにして論じる人がいるが、それは危険だと思う。……