2016年

1月

05日

特集:世界経済総予測2016 原油20㌦台に突入へ 2015年12月29日・2016年1月5日合併号

◇16年春までは底見えず

 

岩間剛一

(和光大学経済経営学部教授)

 

 石油輸出国機構(OPEC)は2015年12月4日にウィーンで開かれた総会で、原油の生産目標を現状の日量3000万バレルに据え置くことを決めた。
 目標を上回る高水準の生産により原油安となるなか、市場が期待した減産が見送られたことで、供給過剰の懸念が一段と強まり、原油価格は下落が加速。ニューヨーク原油先物相場で指標となる米国産標準油種(WTI)の16年1月渡しが1バレル=40ドルを割り込み、12月中旬には約6年10カ月ぶりの安値水準となる34ドル台を一時記録した。
 原油価格が下落しているにもかかわらず、シェア確保を優先するサウジアラビアやイラクなどが高水準の原油生産を続け、国際エネルギー機関(IEA)によると、15年10月時点のOPEC全体の原油生産量は日量3176万バレルで、生産目標を日量200万バレル近く上回る超過生産となった。
 OPECに加盟していない米国やロシアも日量1000万バレルを超える原油を生産しており、世界全体では日量150万~200万バレル程度の原油供給余剰の状況となっている。現状で原油の買い材料はほとんどなく、国際原油市場は売り一色となっている。
 OPECの間では、原油価格の引き上げを求める声が強いが、加盟国の一つであるイランは16年春以降に予想される欧米などの経済制裁解除による原油輸出増をにらんで、減産には消極的だ。
 OPECの盟主であるサウジアラビアも、米国のシェールオイルの生産量が大幅に減少しない状況において、価格よりも市場シェアを重視している。原油生産量を削減する場合には、OPECの生産量の約3分の1を占めるサウジアラビアが率先して減産する必要があり、大きな損失を受ける可能性が高い。OPEC加盟国による一致した協調減産は、16年6月に開催される次回の総会までは困難な状況にある。
 また、仮にOPECが臨時総会を開いて減産を決め、原油価格が1バレル=60ドル程度に戻ると、再び米国のシェールオイルの生産量が増加するため、現状ではOPECに減産という選択肢はないと言える。
 こうした、米国やサウジアラビアなどによる限りない消耗戦が続くなか、新興国の景気後退による石油需要の伸び悩みによって、16年初めには原油価格が1バレル=30ドル割れという状況が現実味を増している。今冬は米国北東部が暖冬予想で、暖房油需要も伸び悩む見込み。米国がドライブシーズンを迎え、ガソリン需要が増す16年春までは20ドル台で推移する可能性が高いだろう。……