2016年

1月

12日

【これじゃ食えない! 会計士・税理士・弁護士】税理士編 変化する会計事務所 従来型ビジネスでは生き残れない 2016年1月12日特大号

税理士向けのマイナンバーセミナーは盛況だが・・・
税理士向けのマイナンバーセミナーは盛況だが・・・

◇成功する税理士には秘訣あり

 

秋本裕子

(編集部)

 

 税理士は、予想以上に「食えない仕事」になっていくのかもしれない。

 2015年3月、日本税理士会連合会が10年ぶりに税理士業界に関する実態調査(14年時点)の結果をまとめた。特に目を引いたのは開業税理士の平均所得の項目だ。13年の平均総所得金額は約744万円となり、前回調査(04年)の約916万円より大幅に下がった。

 今回調査で最も多かったのが「300万円以下」で、回答者2万4950件のうち31・4%に当たる7843件を占めた。10年前に比べて、総所得金額が約170万円も下がっていることからも、厳しさを増す事業環境が改めて浮き彫りになった。

 

 ◇変貌する業界

 

 税理士業界を取り巻く環境はこの約15年間、劇的に変化した。大きなきっかけの一つは、02年4月に施行された20年ぶりの税理士法の改正だ。

 税理士は従来、個人事業だけに限定されていたが、税理士法改正により、税理士法人制度の創設が認められた。その結果、法人化して支社を設置することも可能になった。

 さらに、報酬規定が撤廃された。それまでは税理士会の会則で決まっていた報酬の最高限度額の記載がなくなったことで報酬が自由化された。

 税理士会の綱紀規則が改正され、広告が自由化されたのもこの時期だ。それをきっかけに、インターネットを使った広告やマーケティングの競争が始まり、それが価格競争に拍車を掛けることになった。

 このように、業界を取り巻く変化で、十数年かけて少しずつ事業環境が悪化してきた。税理士が業務によって得る収入は主に、月額顧問料と年1回の決算報酬。会計事務所が主に顧客としている中小・零細企業の大体の相場は、「月額顧問料3万円、決算報酬5カ月分」で年間60万円程度といわれる。「顧問先を20社前後持つことができれば、生活はできる」(業界関係者)という業界だ。

 だが、先行きを見通すと、今後も同じような甘い見通しは立てられそうもない。広告規制の撤廃以降、インターネット広告で「顧問料月額数千円」をうたう会計事務所も珍しくなくなっている。

 顧問料が切り下がる中、数人のスタッフを雇って事務所を維持するには、できるだけ多くの顧問先企業を獲得するしかない。だが、多くの企業を集めようにも、その企業の方が疲弊している。

 アベノミクスで設備投資を増やしたり賃金が上昇する企業もあると言われるが、「多くは大企業・製造業や外国人旅行客の爆買いの恩恵を受けている企業。ほとんどの中小企業には波及していない」(中小企業関係者)のが実態だ。

 だが逆に税理士登録数は増加している。05年の6万8000人から10年間で6500人も増えた。顧問先の経営が悪化すれば、それがそのまま顧問料の下落や顧問先の減少につながってしまう。

 

 ◇特徴を打ち出し成功例も

 

 一方で、こうした厳しい事業環境を見越し、ビジネスを少しずつ変えながら成功している会計事務所や税理士もいる。それらの成功事例を見ると、いくつかのパターンを見いだすことができる。………

関連記事

この記事の掲載号

週刊エコノミスト 2016年1月12日特大号

 

    特集:これじゃ食えない!

会計士・税理士・弁護士

会計士編>

4大法人が上場企業の75%

<税理士編>

会計事務所の勢力図

<弁護士編>

アソシエイト弁護士のホンネ