2016年

1月

19日

特集:来るぞ!日本株 対談 豊島逸夫×高井裕之 2016年1月19日号

2016年のマネーを読む

 

国際金融市場に詳しい豊島&アソシエイツの豊島逸夫代表と住友商事グローバルリサーチの高井裕之社長が2016年の世界経済を大胆に予測する。
(司会=浜條元保、構成=花谷美枝/池田正史・編集部)

 

豊島逸夫  (豊島&アソシエイツ代表)
豊島逸夫 (豊島&アソシエイツ代表)

── 米国が9年半ぶりに利上げに踏み切った。米連邦公開市場委員会(FOMC)では今後、さらに1年で4回、計1%の政策金利の引き上げを見込むが、市場関係者は2~3回の利上げにとどまるとして、予想がずれている。

◇米国は利下げリスク

豊島 私は2回か、4回かの利上げではなく、3~6月にかけてFOMCが利下げに動かざるを得ないような事態をリスクシナリオと考えている。つまり、米国 の景気は定期的に利上げできるほど、盤石ではないということだ。2015年11月の米ISM製造業景況指数は48・6で、好不況の境目とされる50を3年 ぶりに割り込み、非製造業も減速傾向にある。マーケットは16年も米国の利上げの呪縛から抜け出せないだろう。

高井 欧米メディアにも豊島さんが指摘されたのと同じような利下げリスクの論調が見られる。米国は1年以内に利下げを迫られるとの見方は、意外に多い。
 私自身は、大統領選が本格化する年前半に2回利上げするのが精いっぱいではないかと見ている。15年12月初旬ワシントンで米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長の話を聴く機会があったが、大統領選期間中の利上げは困難と指摘していた。
豊島 米連邦準備制度理事会(FRB)は、独立性を問われる年になるだろう。共和党からも「FRBは民主党に配慮しすぎて、金融政策の中立性がない」と従来以上に強く批判されているだけに、政治的な配慮で利上げを遅らせるということは難しいだろう。

高井裕之 (住友商事グローバルリサーチ社長)
高井裕之 (住友商事グローバルリサーチ社長)

高井 しかし、米国が夏には大統領選モード入りするのは確か。利上げのみならずTPP(環太平洋パートナーシップ協定)などさまざまな外交・通商交渉が年後半には棚上げになる可能性が高い。
 また、大統領選挙以上に関心が高いのはドルの行方だ。この2年間で2割強上昇しただけで「上がりすぎ」という声が出てきている。新興国からはもちろん、米国内からも製造業の停滞や設備投資の鈍化が指摘されている。


── 14年半ばまで1バレル=100㌦前後だった原油価格が、昨年末には30㌦台にまで急落した。原油以外のコモディティー(資源)価格も軒並み下がっている。コモディティー価格の動向をどう見るか。

◇需給逼迫で原油反転へ

豊島 金以外は強気で見ている。金利を生み出せない金にとってドル高・金利上昇という局面はそもそも不利。1オンス=1000㌦台が続くだろう。一方、原油は今の状態がこのまま続くとは考えられない。供給サイドから需給が締まり、いずれ反転に向かうだろう。
高井 原油は開発・採掘したら次の井戸に投資するというサイクルが通常の世界だが、新たな投資にあたる上流の投資はこの1年で3割くらい減少している。供 給制約から原油は1バレル=30㌦台から16年末にかけて50~60㌦に上昇していくだろう。20年には70~75㌦という相場観だ。……