2016年

1月

26日

地図でわかった原油恐慌:〈イラン〉制裁解除で供給過剰の主役に 2016年1月26日号

永田安彦

(日本エネルギー経済研究所・中東研究センター副センター長)

 

 国際原子力機関(IAEA)が2015年12月15日にイランの核疑惑解明作業を終了したことで、16年1月にも同国への経済制裁が解除されるとの見方が出ている。

 イランは制裁開始前の11年には日量360万バレルの原油生産を行い、輸出量も200万バレルを超えていたが、現状では生産量が280万バレル、輸出量は110万バレル程度まで減少している。

5年上半期のイラン原油取引の実績を見ると、中国、インド、韓国、トルコ、日本、台湾に輸出されている。イランのザンギャネ石油相は制裁解除後、すぐに50万バレル増産し、半年以内に50万バレルを追加可能とし、強気の姿勢を崩していない。国際エネルギー機関(IEA)は15年12月、制裁が解除されれば、イランは半年で生産量を制裁前の360万バレルにまで引き上げると予想した。

 IEAによれば、足元で約100万バレルの供給余剰となっており、16年上半期までこの状態が続く見通し。16年下半期には米国の生産減少などにより、積み上がっていた在庫が減少し、需給が均衡に向かうと想定している。ただし、これはイランの輸出拡大を考慮しない場合である。

 制裁解除でイランの原油生産が増加し、中国、インド、日本、韓国などへの輸出が増え、特に欧州向けの50万バレルが加われば、需給は再び100万バレル程度の供給過剰に陥り、原油価格の押し下げ要因となる。原油在庫も積み上がり、ニューヨークWTI原油価格の1バレル=50ドル台回復は17年後半になる可能性もある。

 

 ◇引けないイラン

 

 イランは、国家財政を均衡させる「財政均衡油価」が、15年で1バレル=131ドルと現在の原油相場と比べてかなり高いため、原油を高く売りたい。これは化石燃料の代替エネルギー開発を加速させるような油価の急激な上昇を望まないサウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)主流派と意見が食い違うが………

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この記事の掲載号

定価:620円(税込み)

発売日:2016年1月18日

週刊エコノミスト 2016年1月26日号

 

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