2016年

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丸わかり 激震!中国:膨大な地方政府債務 2016年2月2日特大号

◇地方債乱発の懸念

◇天津は財政破綻の瀬戸際

 

内藤二郎

(大東文化大学経済学部教授)

 

 中国では、2008年のリーマン・ショック後の大規模景気対策の過程で政府債務が大きく積み上がっており、特に地方政府の過剰債務が深刻なリスクとして懸念されている。
 中国審計署(日本の会計検査院に相当)によると、2013年末の地方政府債務の残高は約17・9兆元(約322兆円)に達した。その後も増加を続け、14年末には30兆元(約540兆円)を超えたという報告もある。リーマン・ショック後に実施された4兆元(約72兆円)の公共投資のうち1・18兆元が中央分、残りの2・82兆元は地方分であり、地方政府は大規模な資金調達を強いられた上、その多くが有利子負債であったことから地方財政の大きな負担となった。

 こうした資金の多くが「地方政府融資平台」(融資プラットフォーム)を通じて調達されてきた。そして、その使途はインフラ整備関連、交通運輸関係の投資や、土地収用、備蓄など開発関連が中心で、地方財政の土地依存体質を深刻化させた。地方財政構造の特徴として、税外収入のうち政府性基金(日本の特別会計に相当)の土地、資源関連の収入の伸びが大きい傾向にあった。同時に、不動産営業税や建築営業税、不動産契約税など不動産関連税収の伸びも大きくなっていた。
 これは、財政の土地や不動産への依存度が高いことを示すものであり、特に地方財政においてこの傾向が強い。そのため、不動産市場の状況が財政に大きな影響をもたらすことになり、財政の不安定性が従前から懸念されてきた。ここに来てその不安が表面化し、不動産市況の急激な悪化が政府性基金の減少にもつながっている。
 15年上半期の政府性基金収入は前年同期比33・2%減の約1兆7300億元と大きく落ち込んだ。問題はその内訳であり、中央政府性基金収入が同13・8%増の約2016億元だったのに対し、地方政府性基金収入は約1兆5300億元で同36・7%も減少。そのうち土地譲渡収入が同38・3%減の約1兆3000億元で、約8000億元も減った。
 地方財政が厳しさを増す中、注目されたのが天津市である。……