2016年

2月

09日

投資が恐い人の資産防衛大綱:NISAの本当の使い方 2016年2月9日号

 ◇非課税枠が拡大!中リスクの株式ETF最適

 

安間 伸

(ワイルドインベスターズ代表取締役)

 

 少額投資非課税制度のNISAが今年1月から、年間100万円だった非課税枠が120万円に拡大された。また、今年4月からは19歳までの未成年者を対象に年間80万円までが非課税となるジュニアNISAも始まる。上場株式や投資信託の売却益や配当金、分配金が、NISAの枠内の投資であれば非課税となるのは確かに大きなメリットだ。しかし、NISAには損失が出た場合、他の金融商品と損益通算できず、損失を翌年以降に繰り越すこともできないというデメリットもある。こうした特徴を踏まえれば、どのような活用法が最適と言えるだろうか。

 2014年1月からスタートしたNISA。その概要を改めて説明すれば、23年までの10年間にNISA口座を開設すれば、毎年120万円までの新規投資に対し、通常は売却益や配当金、分配金にかかる20・315%の所得税(復興特別所得税含む)、住民税が最長5年間、非課税となる。つまり、非課税となるのは最大で600万円までとなり、投資対象には上場株式や投資信託のほか、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)、また外国の上場株式や投資信託、ETF、REITも含まれる。利益の2割もの比率を占める税がかからないのは、投資に臨むうえで魅力が高い。

 

 ◇限られる投資期間

 

 ただし、NISAは、そのモデルとなった本家・英国のISA(個人貯蓄口座)と比較しても、投資をするうえでいくつかのデメリットがある。その一つが、ISAは口座開設期間も非課税期間も無制限だが、NISAは投資期間が最長5年間と限られていることだ。NISAでは5年間の非課税期間終了後、原則として特定口座などの課税口座に時価で払い出され、引き続き同じ銘柄を保有し続ける場合に限ってさらに最長5年間、120万円までを翌年のNISA口座の非課税投資枠に移管することができる仕組みになってはいるが、投資期間が限られることには変わりはない。

 投資期間が限られる中で非課税のメリットを享受するためには、この投資期間内のどこかの時点で売却して、利益を確定させるタイミングを計る必要が生じる。つまり、長期保有して配当などを再投資し、複利効果を最大限に生かす「買いっぱなし戦略」が通用しない制度になっているのだ。しかし、価格が日々変動する金融商品に対し、個人がそうした売買のタイミングを計ることは非常に難しい。また、いったんNISAの非課税枠で購入した金融商品は、いくら利益の上がる見込みが薄いと判断しても、途中で他の銘柄と入れ替えることもできない。

 さらに、投資期間内に上げた利益は非課税となる代わりに、被った損失は他の金融商品と損益通算できず、また翌年以降に損失を繰り越すこともできない。言い換えれば、NISAでは損失は「なかったもの」とされ、損をした時の救済がないという面では、課税される通常の投資よりも劣る部分がある。そのため、価格変動が大きく損失を被る可能性の高い金融商品を、NISAに組み入れるのは危険が大きい。これらを考慮すれば、NISAは比較的安全な資産への投資に適した制度設計になっていると言えるが、国債や社債の直接保有はNISAの対象外であり、税制と投資対象が本質的にミスマッチの制度なのだ。