2016年

2月

09日

経営者:編集長インタビュー 小川 浩平 アジアグロースキャピタル社長 2016年2月9日号

 ◇ブランド中古品リサイクル世界一を目指す

 

 1915年に照明器具の製造・販売業として創立した「森新治郎商店」が前身。35年に森電機に改組後、M&A(合併・買収)を繰り返し、一時は不動産投資事業も行っていた。2012年にアジアグロースキャピタルに商号変更。13年に子会社化し軌道に乗せた大黒屋のブランド中古品リサイクル事業を中心に展開している。

 

── 足元の業績が好調です。

小川 16年3月期は売上高208億9400万円、純利益は4億3400万円を見込んでいます。利益のほとんどを大黒屋が展開する中古ブランド品リサイクル業で確保しているため、大黒屋を中心に事業を進めようと思っています。現在、国内に20店舗を展開しています。

 大黒屋は、売上高ベースで質屋業では1位、中古品の買い取りではコメ兵に次ぎ2位となっています。

 

── 異業種の大黒屋を13年に子会社化していますが、M&Aの戦略はあったのですか。

小川 80年代にゴールドマン・サックス・アンド・カンパニーでLBO(買収先企業の収益を返済原資に買収資金を調達する手法)ファイナンスなどを担当していた経験から買収のプロという自負がありました。企業買収は、資産査定などの材料を判断基準に行う「プロ対プロの総合格闘技」だと思っています。

 また、大黒屋を買収することにより、日本で初めてLBOを行うのが、目的の一つとしてありました。

── 大黒屋の強みは。

小川 在庫回転率の良さです。90日で業界では最速です。在庫を速く回せるのは、商品の値段を付ける「値付け」が速いからです。適正に在庫をコントロールしています。

 質屋業を兼ねていることも強みです。質金融は利益の約4分の1を占めています。質は短期小口で利便性が高いため金利が高く、小売りの損益をカバーできます。

── 外国人にも中古ブランド品の人気が高いそうですね。

小川 それは商品鑑定の信用性の高さに理由があると思います。当社には鑑定担当が50~60人います。大黒屋はもともと質屋業から始めた企業なので、鑑定のプロがそろっています。万一、偽物を売った場合は、買い戻し保証をうたっています。目利きにはそれだけの自信があります。

 日本製への信頼の高さを意味する「メード・イン・ジャパン」になぞらえ、日本で鑑定された商品は「チェックド・イン・ジャパン」と呼ばれています。

── 中国人の爆買いが落ち着くことに対する懸念はありますか。

小川 当社の売上高で一番多くの割合を占めるのは免税商品ですが、中国経済の変動はあまり気になりません。仕入れ価格を安くしてマージンを一定にすることで業績の変動を最低限に抑えられるからです。

 

 ◇13万人の実売顧客

 

── 海外にも進出しています。

小川 15年には英質金融業「スピードローン・ファイナンス(SFL)」を49億円で買収しました。SFLは英国内に116店舗を展開しています。貴金属や時計しか扱っていない同社を通じて、ブランド品を扱うことで、欧州の潜在能力を引き出せると思いました。 15年12月には、中国最大の国有複合企業「CITIC(中国国際信託投資公司)」グループと、中国での中古ブランド品リサイクル・質屋事業で合弁会社を設立することに合意しました。

 中国進出は視野に入れていましたが、事業の難しさを知っており、きちんと相手を選びたいと思っているところでした。そんな時、CITIC側から合弁会社設立を持ちかけられました。出資比率は50対50です。

 中国は高度成長でブランド品が多く眠っており、それらが中古品として市場に出てくるため成長が期待できます。すでに中国広域に23店舗あるCITICグループの既存店を拠点としながら、合併会社としてさらに20 店舗の出店を計画しています。

── ネット事業も強化してます。

小川 15年9月に米国発の中古品オンライン委託販売サイト「ザ・リアルリアル」の日本法人の社員を引き受けて、ネット中古品売買事業に進出しました。ネット事業での売り上げは5億円ほどで、店舗事業と比べると非常に遅れていました。

 大黒屋は、当社がブランド品を買い取った実績のある約13万人の顧客が強みです。ネットを利用することで、この顧客基盤を今まで以上に活性化していきたいと考えています。

── 海外事業展開の方針は。

小川 米国では、以前はなかったブランド品買い取り事業者がここ数年で現れ始めているので、早く進出しなければならないと考えています。

 特に個人的にはアジアの成長を取り込むために投資を行っていきたいです。アジアグロースキャピタルという社名はアジアの成長を取り込みたいという願いから付けています。

── 将来の経営目標は。

小川 19年3月期までに売上高470億円、EBITDA(税引き前利益に支払利息、減価償却費を加算した値)は84億円を目指しています。

 国内では、毎年4店舗のペースで出店を増やして、20年の東京五輪に向けたインバウンド(訪日客)の需要を取り込み、売り上げを拡大していきたいと思います。

 海外では、英国と中国を中心に事業拡大を計画しています。ブランド品リサイクル事業のグローバルナンバーワンを目指していきます。

(Interviewer 金山 隆一・本誌編集長、構成=丸山仁見・編集部)

 

■横顔

 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

 ゴールドマン・サックスのニューヨーク支店に勤務し、LBOファイナンスやスペシャルファイナンスに奔走していました。

Q 最近買ったもの

A 万年筆です。集めるのが趣味です。

 休日の過ごし方

 読書のほか、ゴルフやスポーツクラブで汗を流します。

 

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 ■人物略歴

 

◇おがわ こうへい

東京都出身。1975年慶応高校卒業。79年慶応義塾大学卒業、トーメン入社。87年ゴールドマン・サックス・アンド・カンパニー入社。94年ファー・イースト・コンソーシアム・インターナショナル・リミテッド社長。97年森電機社長。59歳。

この記事の掲載号

週刊エコノミスト 2016年2月9日号 表紙 資産防衛

定価:620円(税込み)

発売日:2016年2月1日

週刊エコノミスト 2016年2月9日号

 

 

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