2016年

3月

15日

【商社の憂鬱】 純利益・配当予測 2016年3月15日号

◇非資源部門が支え意地の増配

◇キャッシュ創出力は三菱、三井

 

森本 晃

(SMBC日興証券アナリスト)

 

 総合商社の2016年3月期の純利益は、伊藤忠商事が3360億円でトップとなり、三菱商事が2850億円、丸紅1830億円、三井物産1620億円、住友商事900億円、双日400億円、豊田通商350億円と予想する。

  

 資源権益の比率が低い伊藤忠は16年3月期、中国中信集団(CITIC)の持ち分法投資損益(約400億円)が6カ月分貢献することなどで利益を下支えするため、会社計画の純利益3300億円は底堅い。

 三菱は、会社計画の3000億円をやや下回る2850億円を予想しているが、目下「聖域なき見直し」を掲げ、16年3月期末にかけて資源権益を入念に精査している段階にある。よって、今後の減損計上リスクは否定できず、この予想からさらに下振れする可能性もある。

 資源・コモディティー価格は、15年3月期に比べて大きく下落した。15年3月期と16年3月期の平均価格を比べると、ドバイ原油価格は1バレル=83ドルから45ドルへ、鉄鉱石価格は1トン=93ドルから53ドルへと落ち込んでいる。

 この下落の影響を最も受ける三井は、ブラジルの資源大手バーレが既に発表した減損損失(約89億ドル)の約5%出資分の影響を受けることから、筆者は16年2月4日(15年4~12月期決算発表時)に示した会社計画の1900億円(従来は2400億円)を下回る予想とした。

 

 他方、丸紅は油ガス田で15年10~12月期に減損(約700億円)を計上したものの、その他の一過性利益を計上したことから、期初計画の1800億円を据え置いている。16年3月期末にかけて大きな減損がなければ、この水準は保たれると予想する。

 住商は、16年3月期に約1700億円の減損損失を計上することを主因に、期初計画の2300億円から1000億円に下方修正すると2月5日に発表。ほぼこの水準で着地するだろう。

 豊通と双日も会社の計画線上と考える。

 

 一方で、最近は商社の実力を測る指標として、キャッシュ創出力が重視されている。

 

◇キャッシュ創出力に差

 

 大手5商社のキャッシュ創出力を示す基礎営業キャッシュフロー(資産負債の変動を除いた営業キャッシュフロー)を比べると、16年3月期は三菱が約5000億円、三井が約5200億円と大きく、伊藤忠は約3900億円で3位のままと予想する。

 三菱・三井と伊藤忠の差は、減損が非現金支出項目でキャッシュに影響しないこと(帳簿上の処理)に加え、資源・エネルギー事業の償却負担額(キャッシュには影響せず)が伊藤忠の方が約1000億円少ないためだ。

 伊藤忠は、CITICとのシナジー(相乗効果)や、CITIC関連以外の非資源事業からの収益底上げを通じて、キャッシュ創出力でもナンバーワンになれるかが、今後の課題と言える。