2016年

3月

22日

経営者:編集長インタビュー 江崎勝久 江崎グリコ社長 2016年3月22日号

 

 ◇一生付き合える商品をつくる

 

 1921年に創業者の江崎利一氏がグリコーゲンを主成分とする栄養菓子「グリコ」を製造販売する江崎商店を創立。菓子のビスコ、プリッツ、冷菓のパピコ、乳製品のプッチンプリンなどのロングセラー商品を生み出してきた。勝久社長は利一氏の孫にあたる。

 

── 創業以来の理念は何ですか。

江崎 「おいしさと健康」は当時から変わらない理念です。「グリコ」には開発当時、「毎日食べることによって健康な体になる」というコンセプトがありました。子どもの2大天職は「食べること」と「遊ぶこと」と考え、両要素を入れるため、27年からおもちゃを付けました。菓子とおもちゃで一つの商品と考えています。

── 商品が多岐にわたりますが。

江崎 菓子をはじめとした加工食品、アイスクリームなどの冷菓、乳製品のほか、化粧品、天然原料、麺のコシを出すデンプン、グルテンなどの食品原料なども扱っています。コンビニで販売されている麺類の中には当社の原料が使われているものもあります。粉ミルクは、2001年に製造販売を行っていた米ワイスを子会社化、アイクレオに社名変更し、事業に進出しました。

 

── 販売形態は。

江崎 ほとんどが卸売りです。一部、置き菓子の「オフィスグリコ」といった直接消費者に届ける販売方法もあります。

── ロングセラー商品を生み出す秘訣(ひけつ)は。

江崎 「グリコ」開発当時から、販売ターゲットが何を求めているかを客観的に理解するためにリサーチを行ってきました。販売層をどのように広げていくのかということも課題です。大切なのは、お客様が潜在的に持っているニーズや欲求をいかにつかんで商品化するかです。

 企業スピリットとして、「創る・楽しむ・わくわくさせる」があります。新しいものを創り出すのは苦しい仕事です。それを楽しみに変えるためにどう乗り越えるか、創意工夫が必要となります。過去には多くの失敗も経験してきました。ロングセラー商品でも、今の売り上げに満足しないよう戒めています。

 売り上げ以上に広告や営業にも力を入れてきました。よい商品は売れるから投資を行わなくていいという考えはありません。ロングセラー商品は進化させなければならないと考えています。「ポッキー」は15年に発売から50年を迎え、9月にシリーズを大幅にリニューアルしました。

── 最近の売れ筋商品は。

江崎  バンホーテン製ココアパウダーを使った「バンホーテンチョコレート」や一口チョコレート「神戸ショコラ」などが売れています。

 法人向けでは、好きな写真を「ビスコ」のロゴにのせて印刷し、オリジナルのビスコが作れる「スマイルビスコ」も人気です。

 アイスクリームは国内市場において、3年連続で過去最高の売り上げとなりました。大人向けに濃厚な味わいにしたアイスの発売が好調だったことや、住宅の気密性が上がって室内が暖かくなったことなどが要因です。

 

 ◇国内にも設備投資

 

── 足元の業績は。

江崎 16年3月期は売上高3375億円、営業利益165億円を見込んでいます。業績に大きな変動はありませんが、競争が激しい市場の状況を見ると、広告や営業などの経費を投下していかなければならないと考えています。

── 千葉県の工場拡張など国内の設備投資に積極的です。

江崎 完成すると、グループ最大規模のアイスクリーム工場となる予定です。設備投資は商品をつくるためには必要なことで、販売前に先を読んで投資するためリスクも高いです。生産ラインの稼働率を高め、営業やマーケットなど全ての部門で協力していきます。

── 今後の販売戦略は。

江崎 少子高齢化などで菓子や冷菓の売り場が減少傾向にあります。気を抜くと、小売店の商品棚が他のブランドに取られてしまいます。新しい売り場を開拓するため、アイスクリームは自動販売機での販売を拡大したいと考えています。

 15年には、ヨーグルト「朝食BifiX」シリーズ4品を機能性表示食品としてリニューアル発売しました。機能性食品は遅れている分野なので強化していきます。

── 海外での事業展開は。

江崎 現在、売り上げの約12%が海外事業となっています。方針としては、中国、タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナムなどで商品を展開していきます。

 中国は菓子を中心に、販売網を拡大していきたいです。タイは77年から進出し、15年に新会社のグリコフローズン(タイランド)を設立、本格的に冷菓事業に乗り出しました。

 米国やフランスにも進出しています。ポッキーは欧州で「MIKADO(ミカド)」という商品名で親しまれています。合弁先の米食品大手モンデリーズ・インターナショナルと業務提携して、欧州での菓子の販売を強化していきます。

── これからどんな会社にしていきたいですか。

江崎 社会に対しても貢献できるような会社にしていきたいです。「これもグリコか」と言われるような、いつもお客様の身近にある、世代を超えて一生付き合ってもらえる商品をつくっていきます。

(Interviewer 金山 隆一・本誌編集長、構成=丸山 仁見・編集部)

 

横 顔

 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

 広告部門でCMを担当していました。

 最近買ったもの

 デジタルカメラです。Wi-Fi(ワイファイ)でデータを飛ばすことができます。

 休日の過ごし方

 ゴルフ、散歩、買い物などをして過ごします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■人物略歴

 

◇えざき かつひさ

兵庫県出身。灘高校卒業。1964年神戸大学経営学部卒業、松下電器産業(現パナソニック)入社。66年江崎グリコ入社。72年取締役秘書室長、73年代表取締役副社長、82年代表取締役社長に就任。74歳。

この記事の掲載号

定価:620円(税込)

発売日:2016年3月14日(月)