2016年

4月

05日

東芝:頼みの半導体と原子力に不安 2016年4月5日特大号

 ◇総合電機からの転身は不透明

 

石野雅彦

(東海東京調査センター・シニアアナリスト)

 

 経営再建中の東芝は3月18日、エネルギー、半導体、社会インフラの3分野を軸に2016年度(17年3月期)の連結売上高を4兆9000億円とする事業計画を発表した。白物家電やパソコン(PC)、医療機器事業を売却するなどの大規模リストラを行い、総合電機から転身を図る。不正会計問題の影響で16年3月期の連結業績見込みは7100億円の最終赤字。室町正志社長は「構造改革を完遂し、全事業の黒字化を図る」と述べ、17年3月期連結純利益1000億円を目標に掲げた。しかし、事実上の2本柱である半導体と原子力の先行きは不安要因もあり、目標達成は不透明さが残る。

 ◇規模縮小での再出発

 

 今後注力するエネルギー、半導体、社会インフラの3分野をそれぞれ、「エネルギーシステムソリューション社」「ストレージ&デバイスソリューション社」「インフラシステムソリューション社」に再編し、3社をシステム面で支える「インダストリアルICTソリューション社」の4カンパニー体制とする。このほか、子会社でPOSシステム世界シェア首位の東芝テックは現状維持、東芝クライアントソリューションは他カンパニーと統合、東芝ライフスタイルは事業譲渡を検討している。

 並行してリストラも進める。冷蔵庫など白物家電事業は保有株の大半を中国・美的集団へ売却する方針。パソコン事業については、富士通や、ソニーからVAIO(長野県安曇野市)との経営統合に向けた交渉を継続する。既にソニーへ売却済みのCMOSセンサーと併せ、不採算分野を外出しし、経営資源を集約する。

 また、医療事業を手掛ける子会社・東芝メディカルシステムズを6655億円でキヤノンに売却する。将来の収益源として有力事業の一つとみなしていたが、株主資本が2・6%に毀損(きそん)するリスクが残ることを避けるための措置。約5900億円の売却益で自己資本比率を約15%に引き上げる。

 人員削減については、従来の計画より2980人多い1万3820人とし、17年3月期末のグループ従業員数は18万3000人と、15年3月期末比で3万4000人を削減する。採用計画は、東芝単独で17年4月に予定していた大卒の新規採用を事務系・技術系ともに中止した。

 この結果、17年3月期は、連結売上高4兆9000億円、営業利益1200億円、純利益400億円を見込む。中核事業を明確に絞ることで3期ぶりの黒字転換を目指すが、売上高は14年度の6兆6559億円比で1兆7559億円減(約26%減)となり事業規模を縮小しての再出発となる。

 今回の事業計画の狙いは、優位性のある得意事業に絞り込むことで収益体質への改善を狙うとともに、特設注意市場銘柄の解除を目的としたことにある。従来の東芝は、半導体や液晶、PCに注力してきたが、市場構造変化のスピードに対応しきれず、構造的に赤字に陥りやすい体質になっていた。いわゆる半導体産業の景気循環と言われるシリコンサイクルの不況の時期に周期的に大きな赤字を計上してきた経緯がある。

 その結果、………