2016年

6月

07日

日本の農業は“過小保護” 2016年6月7日特大号

◇農林中金の利益が生産に必要

 

菊池英博(日本金融財政研究所所長)

 

 自民党農林部会長の小泉進次郎氏は「農業をもうかる産業へ変える」と宣言し、日本農業に新時代を開こうとする意欲が感じられる。

 マスコミが報じる小泉氏の主張のうち、とくに印象的な発言は「農業は弱者ではない、補助金を多くとろうとすることから発想の転換が必要だ(日本の農業は補助金漬け)」と「農林中央金庫の貸出残高のうち農業に回っているのは0・1%だ。そんな農中はいらない」であろう。しかし実態を見ると、日本の農業は過保護どころか、過小保護であり、農中が日本農業を支えていることが分かる。日本の農業改革を進めるにあたっては、実情を踏まえた方向性が必要であろう。

 

 欧米の主要国では食糧安全保障の観点から農業に多額の国家予算が投入されている。表「農業に対する政府支出の国際比較」を見ると、左側の「A」は「農業所得に占める直接支払い(財政負担)の割合」を%で示している。日本の比率は15・6%であるのに対し、米国は26・4%、さらに仏、英、スイスは90%を超えているので、これら欧州の農民は公務員と同じような状況にあることが分かる。

 

 「B」は「農業産出額に対する農業予算の割合(2005年)」で、日本は27%なのに対し、米国は65%、仏は44%、英42%、スイスは62%である。つまり農産物の生産の4~6割強を税金で支えている。こうして見ると、日本の農業が過小保護であることが理解できるだろう。

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