2016年

6月

21日

【EconomistView】: 生乳の安定供給で食卓に健康と安心を届ける 2016年6月21日特大号

 

中央酪農会議が日本酪農の現状や取り組みを紹介

 

中央酪農会議は6月1日の「世界牛乳の日」、日本酪農の現状や生乳の安定供給への取り組みを紹介する記者発表会を開催。専門家や酪農家からは指定団体制度の必要性を訴える声が相次いだ。

 

生乳生産量は、3年ぶりに対前年比増

 

 飼料価格や資材価格の上昇による生産コストの増加、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉など、将来への不安材料が多いなか、酪農家の廃業が進み生産基盤の脆弱化が深刻になっている。記者発表会では、こうした現状を踏まえ、中央酪農会議の迫田潔専務理事が冒頭のあいさつで「日本酪農の取り組みや、指定団体(指定生乳生産者団体)制度が生乳の安定供給に果たす役割に理解を深めてほしい」と強調。

 続いて同会議の内橋政敏事務局長が、日本酪農の現状や取り組みを紹介。酪農家の減少は続いているが、生乳は国内需要量でお米を大きく上回る基礎的な食品であり、牛乳は国産100%であると訴えた。そして、2015年度は生乳生産量が12年度以来3年ぶりに前年を上回ったと報告。酪農家は厳しい状況のなかでも国産飼料の増産と有効利用を進め、搾乳ロボットの導入による効率化を図るなどして、経産牛1頭当たりの乳量は世界トップクラスであると述べた。

(写真)一般社団法人中央酪農会議の内橋政敏事務局長


 次に、東京大学大学院経済学研究科の矢坂雅充准教授が、「日本のミルクサプライチェーンにおける指定団体制度の役割」と題して解説。生乳は腐敗しやすく貯蔵にも限界があることから、売り手の酪農家は買い手の乳業メーカーに対し不利な立場にあり、多くの生産者から受託して生乳販売関連業務を行う指定団体は、需給調整や交渉力強化、流通合理化、消費者への安定供給などに大きな役割を果たしていると紹介した。その上で、全国に10ある指定団体は相互に競争を展開して安定した生乳市場を維持し、さらに競争に伴う非効率的な流通や販売ロスを回避するため、協調した対応をしていると指摘した。

 

(写真)愛知県刈谷市の酪農家、清水ほづみさん

(写真)東京大学大学院経済学研究科の矢坂雅充准教授


 酪農家の立場から参加した愛知県刈谷市・清水牧場の清水ほづみさんは、県内の酪農家は毎年約20軒のペースで減少していると地域の現状を紹介。そうしたなか、刈谷市内でただ1軒の酪農家として、毎日200頭の乳牛を飼育しながら、子どもから大人まで対象に酪農教育ファーム活動に取り組んでいると説明。「指定団体が生乳を集め売り切ってくれることで、牛と向き合い酪農に専念でき、皆さんに安心、安全な牛乳を提供できます」と、その必要性を呼びかけた。

 日本酪農の現状や指定団体の重要性について、消費者もより理解を深める必要があるだろう。

 

中央酪農会議の取り組みについてはホームページ(http://www.dairy.co.jp/)で詳しく紹介されている。