2016年

7月

12日

【英国EU離脱の衝撃】現地ルポ 2016年7月12日特大号

離脱派の男性に詰問される残留派の女性活動員
離脱派の男性に詰問される残留派の女性活動員

 

◇主権を取り戻そうと情に訴えた離脱派

◇ひ弱なエリートの残留派を打ち破った

 

今井一

(ジャーナリスト)

 

 6月23日の国民投票日を挟み8日間ロンドンに滞在した私は、残留派と離脱派の集票活動をじかに見聞きする中で、両派の色合いの違いを肌で感じた。

 投票日の3日前の20日、離脱派のボランティア運動員が展開する戸別訪問に同行した。ジャマイカ出身のジョイさんと地元で生まれ育って地方議員をしているルーシーさんは共に60代の女性。劣勢が伝えられるロンドン市内で、少しでも票を獲得しようという思いから2人は連日、戸別訪問を繰り返していた。

 

◇泣き崩れる女性活動員

 

 事前の了解をとることなく近所の家を次々と訪ねる。時折「私は残留」というシールがドアに貼ってある家があるのだが、ひるむことなくドアをノック。「離脱に一票を」と、現れた住人に対して離脱の必要性をアピールする。

 中には激しい反発や反論にあうこともあるが、彼女たちはめげることなく戸別訪問を続けた。その姿は実にたくましく、熱い情熱を感じた。

 一方、残留派の運動として一般的だったのは、繁華街でのチラシやシール配り。配布しているのは若者が多く、みんな「I’M IN」と書かれたTシャツを着ている。身のこなしがスマートで爽やか。知的な雰囲気を醸し出している。

 投票日の2日前、そんなインテリ風の20代の女性運動員に高齢の男性が近づき、話しかけた。やがてそれは詰問調に変わっていったが、女性運動員は何も反論できずに戸惑い顔で立ち尽くすだけ。

 そして男性が立ち去るやいなや、彼女はその場で突然、泣き崩れてしまった。……