2016年

7月

26日

エコノミストリポート 医薬品開発

◇拡大する後発薬市場

◇立ちはだかる抗体医薬の壁

 

村上和巳(ジャーナリスト)

 

 ジェネリック(後発)医薬品専業の製薬企業が、飛ぶ鳥を落とす勢いの好業績を上げている。国内のジェネリック専業会社のうち、株式を上場している日医工、沢井製薬、東和薬品の2016年3月期決算は3社とも増収増益で、今期もそろって2ケタ増収の予想を掲げている(図)。

 富士経済の推計によると、ジェネリック医薬品の市場規模は15年の7897億円から、18年までに1兆1172億円まで拡大する見通し。国内医療用医薬品に占める割合は、15年の8・9%から18年には12・0%に高まることになる。

 医薬品業界は、武田薬品工業やアステラス製薬など新薬開発を行う製薬会社と、ジェネリック医薬品を手がける製薬会社とに大別できる。日本ジェネリック製薬協会に加盟する約40社のうち、大半がジェネリック医薬品の専業企業で、中小の専業会社がひしめき合う市場だ。

 製薬企業が開発する新薬の特許は、化学物質としての特許の柱である「物質特許」を含め複数あるが、その有効期間は出願から20年。医療用医薬品は開発期間を考慮して最長5年間の延長措置があるものの、現実に新薬を独占販売できる期間は長くて15年程度で、以降は新薬と同じ成分で価格が安いジェネリック医薬品が登場する。

 

 ◇2020年に8割へ

 

 日本では医師がジェネリック医薬品の品質や安定供給に対して懐疑的だったこともあり、欧米に比べてジェネリック医薬品の浸透率は低かった。ところが高齢化による医療費増大が社会保障財源を圧迫し始めたのを受けて風向きが変わった。国は07年以降、ジェネリックの処方割合に応じて診療報酬を上乗せするなど、ジェネリック医薬品の使用促進策を進めてきた。

 政策の後押しを受けて、ジェネリック医薬品の浸透ペースは加速している。調査会社の医療情報総合研究所によると、特許失効から半年後にジェネリック医薬品に置き換わった割合は09年1月~10年3月は6%にすぎなかったが、15年4~12月には34・3%まで上昇している。ジェネリック医薬品の浸透が進んだことで、厚生労働省発表のジェネリック医薬品の数量シェア(特許切れ医薬品成分に占めるジェネリック医薬品の割合)は、15年9月時点で56・2%に達している。

 安倍政権は特許切れ薬のジェネリック医薬品への置き換えをさらに推し進めている。昨年6月に閣議決定した「骨太方針2015」で、ジェネリック医薬品の数量シェアを17年半ばに70%以上、18年度から20年度末までのなるべく早い時期に80%以上にするとの目標を掲げた。

 政府による「お墨付き」を得たジェネリック医薬品専業会社は、今後数年間にわたる成長が約束されていると言っても過言ではない。

 政府目標を受けて、ジェネリック専業会社は生産能力向上のため設備投資を活発化させている。16年3月期決算のジェネリック専業上場3社の設備投資の合計は前期比54・9%増の498億7400万円。17年3月期の設備投資計画は16年3月期比で47%増の733億円まで膨らむ見込みだ。

 

 ◇製造技術が難しく

 

 とはいえ、ジェネリック医薬品専業会社の急成長は長くは続かないと指摘する声が少なくない。