2016年

8月

02日

【ヘリコプターマネーの正体】図とQ&Aで理解するヘリマネ 2016年8月2日号

Q ヘリコプターマネーって何?
A ある日、お札をヘリコプターからまいたとすれば、人々はそれを拾って所得が増え、支出するので物価は確実に上がる──。経済学者ミルトン・フリードマンが論文で提示した思考実験が元にある(a)。
 転じて現在は、回収されることのないお金を人々に配る政策を総称する言葉として議論に上っている。現実的には、政府の財政出動(現金給付や公共投資、減税)を中央銀行が賄う形が取りざたされている(b)。
Q 日銀の量的緩和(QE)と何が違うの?
A 現在、日銀は国債などの資産を買い入れることでマネタリーベース(通貨供給量=流通する現金+金融機関の日銀当座預金)を増やし、人々の予想インフレ率を高めようとしている。同時に、政府は国債発行で賄って経済対策を講じている(c)。ただ、借金である国債は返さなければならず、お金はいずれ回収される。
 そのため、人々が将来、税金として負担することを想定し、需要拡大の効果が限られる──という発想から、より「ヘリコプターマネー」に近づけようと、国債の償還期限をなくす案などが出されている(b)。政府が支出したお金が「回収されることのないもの」なのか、そう認識されるかがカギ。
Q 「財政ファイナンス」との関係は?
A 財政ファイナンスは、日銀が通貨を発行して、政府の財政赤字を埋めることを指す。ヘリコプターマネーはまさに財政ファイナンスと言える(a・b)。
 財政ファイナンスが行われると、歳出と歳入のバランスを保とうとする財政規律が失われがちだ。その結果、際限なく通貨が発行されて悪性のインフレを招いたり、政府の信用が損なわれ、通貨や国債の価値が下落したりする恐れがある。
 そのため、財政ファイナンスに結びつくものとして、政府が発行した国債を日銀が直接引き受けることは財政法(第5条)で禁じられている。ただ、特別な場合については国会議決を条件に認められており、現在でも日銀は、償還を迎えた国債を直接引き受けにより借り換えている。(編集部)

 

(『週刊エコノミスト』2016年8月2日号<7月25日発売>24ページより転載)