2016年

8月

23日

経営者:編集長インタビュー 境 正博 ジャパンミート社長 2016年8月23日号

◇「M&Aで成長する肉のプロフェッショナル」

 

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)

 

ジャパンミートは、茨城県に本社を構え、関東で「生鮮館」や「肉のハナマサ」などのスーパーを展開する。1978年に食肉卸業として創業して以来、肉のプロとして事業追求してきた。またM&A(合併・買収)を通じて事業拡大し、今年4月に東証2部に上場を果たした。

 

── 上場を決めた理由は。

 M&Aなどで売上高1000億円が見えてきて、今後の成長戦略として上場を決めました。2013年に買収をした花正の運営する「肉のハナマサ」の体制も整ってきたので、更に攻めの経営に出ました。

 上場で集まった約40億円は、東京本部ビルと茨城県の新加工物流センターの拠点づくりに使います。

── 現在、いくつの店舗がありますか。

 肉を中心とし、主に関東でスーパーマーケットを76店舗、外食店を15店舗運営しています。

 スーパーマーケットは、出店場所と店舗の大きさによって、四つに分かれます。大型商業施設内にテナントとして出店する「生鮮館」、ロードサイドに単独で店舗を構える「卸売市場」、北関東の地域に密着したスーパー「パワーマート」。そして、東京23区内を中心に出店する業務用食品を扱う「肉のハナマサ」です。

 最も店舗数が多いのは、肉のハナマサで49店舗。花正の買収前は、生鮮館を中心に成長してきました。 外食事業は、14店舗ある「焼肉や漫遊亭」が中心です。

── 足元の業績は。

 2016年7月期の予想は、売上高958億円、営業利益43億2400万円です。見込みどおり、順調に進捗しています。営業利益率は4・5%と、高い水準にあります。

── 肉のハナマサを持つ強みは。

 都内を中心とした49店の店舗網があることです。例えば、銀座、赤坂、麻布など新規に出店することが難しい土地に、ハナマサは既に店舗を持っています。

また、ハナマサは業務用の大きいサイズの商品を売る点で、コンビニやミニスーパーとは異なる独自性があります。業務用商品を売っていますが、ハナマサに来るお客様の7割は、業者ではなく一般家庭の人です。

 消費者は昔に比べ、業務用の大型商品を買うことに抵抗が少なくなりました。また冷蔵庫の性能が向上したため、まとめ買いをした後、小分けにして冷蔵庫で保存することができるようになりました。ハナマサの売り上げに占める生鮮食料品の構成比は60%に上り、コンビニなどと比べると圧倒的に高いです。

── 他社に勝ち抜くコツは何ですか。

 「売れ筋売価発想」です。つまり、お客様が最も欲しいものを、買ってもらえる値段で並べます。

 たとえば、お客様が最も買う肉は、ブランド肉ではなく、豚のひき肉や細切れ、鶏の胸肉などです。それら売れ筋商品を多く陳列しました。花正を買収後、肉のハナマサにも、この「売れ筋売価発想」を取り入れるようアドバイスしました。

── 肉へのこだわりは。

 ジャパンミートは、祖父が1945年に丸八肉店という精肉店を創業したのが始まりです。小売店に肉を卸しており、78年には食肉卸企業のジャパンミートを設立しました。 その後、肉の小売店をやらないかと言われ、肉の仕入れから加工、販売までを全て自社で行うようになりました。それまで、他社のために行っていた肉の加工を、ジャパンミートのために行うようになったのです。83年に小売りの1号店を開設し、93年からはホームセンター「ジョイフル本田」内に出店しました。

 ホームセンター内には、さまざまな食品専門店が入っていて、それらをその後、ジャパンミートがM&Aしました。だから、ジャパンミートはプロの集団だと思っています。

── M&Aで苦労はありませんでしたか。

 買収先とは、良好な関係を築けています。M&Aの目的は他社を征服することではなく、自社を成長させることです。買収後も各社の特徴や良さを残し、ジャパンミートの肉が売れるように、各々の専門業を頑張ってもらいます。

 特に、花正は、同じ肉屋としてDNAの型がジャパンミートと合うんです。

── 外食事業は好調ですか。

 焼き肉を中心に展開しています。焼き肉は、牛、豚、鶏の部位ごとに、また内臓まで含めて提供できるので、精肉の強みを最も発揮できます。客単価は約2200円ですが、5000円分食べた満足感を与えます。

── 今後の出店計画は。

 生鮮館や卸売市場も、人口の多い東京23区内に出店していきます。これまで拠点は茨城の本社でしたが、東京に本部を構えたことで、重心を東京に移すことができるようになりました。

 ここ最近は、肉のハナマサを手に入れたこともあり、出店ペースはスーパーと外食店を合わせて年間4店舗でした。しかし、今後は出店ペースを上げていきます。

── 今後の目標は。

 お客様目線の「売れ筋売価発想」で、ブレずにやっていきます。数値目標としては、営業利益率4・5%という水準を維持します。

 また、M&Aの手法も有効活用していきたいです。

(構成=金井暁子・編集部)

 

 ◇横 顔

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

A 食品部部長と営業本部長を経て、34歳で社長になりました。会社の売り上げが右肩上がりの時代で、がむしゃらに商売をしていました。

Q 「私を変えた本」は

A 本はありませんが、仕事の現場でさまざまな言葉を聞き、商売を学んできました。

Q 休日の過ごし方

A 家族と過ごしたり、ゴルフの練習をしたりしています。

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■人物紹介

 ◇さかい まさひろ

茨城県出身。1996年東京商科学院専門学校卒業後、食肉企業のダイリキに入社。99年に同社を退職し、ジャパンミートに入社。2009年から代表取締役社長(現任)。40歳。

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事業内容: 精肉・一般食品などの小売り

本社所在地:茨城県小美玉市

設立: 1978年8月

資本金:22億2950万円

従業員数:4897人(グループ)

業績(2015年度・連結)

 売上高:915億円

 

 営業利益:34億7600万円

(『週刊エコノミスト』2016年8月23日号<8月16日発売>4~5ページより転載)

この号の掲載号

定価:620円(税込)

発売日:2016816

2016年8月23日号

 〔特集〕電通

■利権と圧力編

 ・新国立8万人のウソから始まった五輪

   と神宮外苑再開発の複合利権

企業編

 ・危険なイメージを持つ電通の

  「企業」としての姿に迫る

インタビュー 生き証人・電通と私

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