2016年

9月

27日

特集:ぶらり日本経済 2016年9月27日号

丸の内

 

◇岩崎と渋沢の買収合戦

◇海から陸に転じた三菱

 

 鹿島 茂(明治大学教授)

 

 東京のど真ん中の東京駅周辺で、大規模再開発が始まろうとしている。

 三菱地所が東京駅日本橋口前で進めている「常盤橋街区再開発プロジェクト」がそれである。千代田区大手町から中央区八重洲にかけての3万1400平方メートルの土地に2017年から10年がかりでビルを四つ建設しようという1兆円超の大規模プロジェクトだが、中心となるのが高さ390メートルの日本一の超高層ビル(地上61階・地下5階)というのだから、東京の巨大ランドマーク誕生となること必至である。三菱地所は金融関係の企業を誘致し、国際金融センターとしてさらに発展させる狙いだ。

 ところで、この大計画の主体が三菱地所であると聞くと、東京の再開発史に詳しい人なら、バブル真っ盛りの1988年に同社が発表した「マンハッタン計画」を思い浮かべるかもしれない。旺盛なオフィス需要を受けて、丸の内一帯にニューヨークのマンハッタンに匹敵する超高層ビル街を建てた場合のシミュレーションを行った。ただ、同計画は再開発へと発展することはなかった。

 つまり「常盤橋街区再開発プロジェクト」は30年前の「マンハッタン計画」をバージョンアップさせた三菱地所の再挑戦と見ることもできるわけだが、しかし、私のような渋沢栄一の伝記作者からすると、常盤橋という地名(渋沢栄一の銅像が常盤橋公園に建っている)から、どうしても想起せざるをえないエピソードがある。1888(明治21)年の市区改正計画(都市計画)で浮上した丸の内一帯の陸軍用地一括払い下げを巡る三菱・岩崎弥之助と渋沢栄一・有力実業家連合との確執である。・・・・・

 

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