2016年

10月

04日

【人口でみる世界経済】超高齢化はイノベーションの宝の山 2016年10月4日特大号

1951年生まれ。東京大学経済学部卒業。エール大学大学院博士課程修了、博士(Ph.D)。東京大学大学院教授を経て2016年4月より現職。著書に『高度成長』『いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ』など。
1951年生まれ。東京大学経済学部卒業。エール大学大学院博士課程修了、博士(Ph.D)。東京大学大学院教授を経て2016年4月より現職。著書に『高度成長』『いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ』など。

◇吉川洋(立正大学教授)

 

── 近著『人口と日本経済』(中公新書)では悲観論を排している。

吉川 「人口減だから右肩下がり」と決まり文句のように言うが、それは違う。予測では今後100年で日本の人口は3分の1まで減る。人間の社会として不自然だし、実際、財政・社会保障などに人口減少は深刻な問題を引き起こしているが、経済とは一応切り離して考えた方がいい。

 経営者たちは人口減の今と対比して、「高度成長期はよかった」と言う。だが、1955~70年ごろまでの高度成長期とは、結果的に後からみれば成長していたということであり、同時代を生きていた人たちが右肩上がりだと思って経営していたと思うのは大間違いだ。高度成長期の経営者は慎重論が根強いなかで、リスクをとっていた。

 56年の経済白書にある「もはや戦後ではない」という言葉がよく引用されるが、この言葉をポジティブなものと捉えるのは誤解だ。戦後の10年間は復興需要が経済の追い風となった。その一時的な特需がなくなったという危機感を表す言葉だ。今後は、経済学者シュンペーターが説くイノベーション(技術革新)を中心に成長していかなければならないと打ち出した白書だった。

── 今も人口減に危機感がある。

吉川 いつの時代もイノベーションが重要だ。我々の経済は、人口が増えて需要が伸びるのではない。中身が変わっていく。高度成長期には労働力人口は1%しか増えなかったが、10%成長だった。人口以上に世帯数が増えたが、それよりも1人当たりGDP(国内総生産)の上昇が圧倒的に大きい。同じ商品を作り続けて人口が増えた分、売り上げが増えるという経営が素晴らしいのか。人々の潜在的ニーズを先取りし、付加価値を上げるのが企業の役割だ。

 

◇今は夜明け前

 

── 高齢者は消費性向が低いのではないか。

吉川 それは、20歳と75歳の2人がラーメンの大食い競争をするようなイメージだ………

 

(『週刊エコノミスト』2016年10月4日特大号<9月26日発売>93ページより転載)

 

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発売日:2016年9月26日

週刊エコノミスト 2016年10月4日特大号

 

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