2016年

10月

04日

経営者:編集長インタビュー 高谷康久 イー・ガーディアン社長 2016年10月4日特大号

高谷康久 イー・ガーディアン社長

◇ネットサービスの守護神になる

 

 イー・ガーディアンは、SNSの投稿監視などを行うネットサービスのセキュリティー会社。9月16日に東証マザーズから東証第1部に市場変更した。

── 売上高が2010年9月期の13億円から15年9月期に30億円と倍増しています。急成長の理由は何ですか。

高谷 インターネット関連の市場が急拡大しているからです。ブログやSNSが普及し、それに伴ってネット関連のトラブルが増えました。ネットサービスは、24時間365日動いていますから、それを個別企業で運用・監視するのは大変です。ブログやSNSのプラットフォーム(基盤)を提供する会社の代わりに、そのサービスを監視しています。

── どのように監視しますか。

高谷 ブログやSNSの投稿、EC(電子商取引)サイトにおける商品のレビューや口コミで誹謗(ひぼう)中傷や児童ポルノ画像がないか、ECサイトで違法な薬物や模造品が売買されていないかなどを監視しています。

 システムによるテキストと画像の解析と、人間の目視確認を行っています。システムは、画像を認識するAI(人工知能)を東大と共同開発し、業界で初めて導入しました。

── ネット監視事業を始めたきっかけは。

高谷 私は、以前、京セラで携帯電話のコンテンツ事業を担当していました。当時は、ドコモの「iモード」や、KDDIの「ezweb」といったインターネットサービスの黎明(れいめい)期。ネットサービスが拡大するのに伴って、ネットに関連する事故・事件も起き始めていました。

 今後インターネットサービスにおけるセキュリティー会社が必要になると思いました。イー・ガーディアンという社名には、「インターネットの守護神」になるという思いを込めています。

── 投稿監視の他には、どんな事業をしていますか。

高谷 ECサイトやソーシャルゲームなどに掲載されるネット広告に、違法な誇大広告がないかを確認しています。

 最近増えているのが、ソーシャルゲームの問い合わせ対応の代行です。電話やメール、チャットによる問い合わせの対応を多言語で24時間行います。「課金したのにアイテムが買えない」「ゲーム中に嫌がらせをしてくるユーザーがいる」など問い合わせは多いです。

── 顧客数は。

高谷 700社を超えます。国内だけでなく、中国、タイ、フィリピンにも提携しているサポートセンターがあります。

── 御社の強みは。

高谷 グループ全体で、多岐にわたるセキュリティーサービスを提供できることです。たとえば、15年に買収したベンチャー企業のHASHコンサルティングは、Webアプリのセキュリティーホール(安全面での穴)を見つける会社です。また、14年に会社分割して設立したトラネルは、ゲームのバグ(プログラムの誤り)を見つけます。

 ゲームの開発段階でトラネルがバグを発見し、リリース後にイー・ガーディアンが問い合わせ対応をするなど、グループ間の連携で成長スピードを加速していきます。

 

◇今期も2桁成長

 

── 業績見通しは。

高谷 16年9月期は、売上高、営業利益ともに前期比で2桁成長の見込みです。市場が拡大しているので、2桁成長は最低限だと思っています。

 

 イー・ガーディアンは、今年4月に設立されたブロックチェーン推進協会に発起メンバーとして参画している。ブロックチェーンは、複数のコンピューターが分散して管理する台帳で、金融機関などが注目している。

 

── ブロックチェーンに取り組む理由は。

高谷 改ざんがしづらく、システム構築のコストが小さいブロックチェーンは、今後あらゆるECサイトやシェアリングサービスのプラットフォームになると考えています。

 そこで、第三者によるセキュリティーチェックが必要となります。たとえ、ブロックチェーン自体が安全だとしても、その仕組みを使ったサイトやサービスが安全とは限りません。

 サービス開始前にセキュリティーホールがないか検証する必要があるのです。具体的な取り組みはこれからですが、ツールを使ったセキュリティー診断やハッカーを装った攻撃テストなどが考えられます。

── 他にも新しい技術が次々と登場していますが、対応は。

高谷 顧客であるゲーム会社で活用される新技術について、プログラムに誤りがないか、サービスに問題がないか検証していきます。

  VR(仮想現実)、AR(拡張現実)の対策専門チームを社内に発足しました。ゲーム世代である若いメンバーが中心となって、取り組んでいます。

── 今後の目標は。

高谷 安心・安全のシンボルになりたいです。建物にセコムのマークがあると安心しますよね。同じようにWebサイトにイー・ガーディアンが監視中、またはチェック済みというマークがあれば、ユーザーに安心して使ってもらえるようなブランドになりたいです。

 

Interviewer 金山隆一(本誌編集長) 構成=金井暁子(編集部)

 

◇横顔

 

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

A 36歳の時に、会社を立ち上げました。当時は売り上げが少なく、「地獄の30代」と言うくらいしんどかった。でも、30代に苦労すると、次の10年が大きく変わります。

Q 「私を変えた本」は

A 稲盛和夫さんの『心を高める、経営を伸ばす』です。何のために働くのか、生きるのか人生哲学が明確に書かれていて、これを読んでジョンソン・エンド・ジョンソンから京セラに転職しました。

Q 休日の過ごし方

A 土曜日に日本拳法という武道塾を主宰しています。

………………………………………………………………………………………………………

 

■人物略歴

たかたに・やすひさ 大阪府出身。大阪府立摂津高校卒業。関西学院大学法学部を卒業。1995年に京セラ入社。仕事で関わりのあったホットポットからコンテンツ監視事業を譲渡され、2005年にイー・ガーディアンとして分社化、06年社長就任。48歳。

 

………………………………………………………………………………………………………

 

事業内容:ブログ、SNSの投稿監視。オンラインゲームのカスタマーサポート。

本社所在地:東京都港区

設立:1998年5月

資本金:3億4000万円

従業員数:723人(グループ)

業績(2015年度連結)

 売上高:30億1800万円

 営業利益:3億2800万円

 

 

(『週刊エコノミスト』2016年10月4日特大号<9月26日発売>4~5ページより転載)

この記事の掲載号

特別定価:670円(税込)

発売日:2016年9月26日

週刊エコノミスト 2016年10月4日特大号

 

特集:人口でみる世界経済

 

世界16カ国の人口長期予測

『デフレの正体』を世界に

藻谷浩介が読む世界経済の行方

テロの原因は人口の不均衡

 インタビュー 吉川 洋 / 小峰 隆夫

 

                                 アマゾン / 楽天ブックス

                                 ホンヤクラブ / e-hon