2016年

10月

11日

経営者:編集長インタビュー 平岡昭良 日本ユニシス社長 2016年10月11日特大号

◇社会問題をITシステムで解決する

 

── 2017年3月期は増収増益の計画です。好調な事業は。

平岡 コンビニなどで売っているプリペイドカード向けのIT(情報技術)システムです。アマゾンやアップル、グーグル、任天堂、DeNAなどのサービスで使うプリペイドカードは現在、約100種類あり、その約5割は、当社が提供するカードの発行元と販売元をつなぐ仕組み(プラットフォーム)で動いています。プリペイドカード市場は、米国では10兆円規模になり、まだ統計がない日本でもインターネットで買い物する市場が拡大するなかで伸びていくとみています。

── そのビジネスモデルは。

平岡 プリペイドカード事業が好調なのは、カードが普及すればするほど、当社の手数料収入が上がるビジネスモデルにできたのが大きいです。つまり、普及しなければ赤字プロジェクトになるため、お客様と同じ方向を向くことができます。

 これまで、当社の売り上げはプロジェクトの工程に対して、それに取り組む人の数で計算していました。ただし、当社の売り上げが上がると、お客様にとっては投資額が上がってしまいます。これからは、お客様の初期費用は少なく、当社のシステムを利用して手数料をいただくような、ウィンウィンの関係を作っていきます。

 

 日本ユニシスは、18年に創業60周年を迎える。主な事業は、銀行ATM(現金自動受払機)、電力会社向けの顧客情報管理や料金計算のシステム、航空・鉄道乗車券の予約・購入など、社会基盤の根幹を支えるITシステムだ。さまざまなメーカーの製品を最適に組み合わせて提供するため、機器のメーカーにこだわらない「ベンダーフリー」が強みだ。顧客層は大きく、金融、製造・流通、公共サービスの三つに分かれる。

 

── 既存のビジネスはどうか。

平岡 顧客の要望に応じて、ITを使ったサービスやシステムを提供する従来の事業は、足元も好調です。どの業界でもITが経営の武器になることは共通しており、IT需要は増えています。

ただし、従来の事業では、生産性を上げて70%の力で取り組もうとしています。そのために、開発の速度を速めたり、協力会社との協業比率を増やしたりして、原価構造を変えています。

── 生産性を上げた分は。

平岡 将来のために使います。当社はこれまで、電力やATMなど止まると大きな問題になる社会システムを手がけてきたので、プロジェクトが失敗しないように、堅く堅くリスクを評価していくのが企業文化でしたが、今はイノベーション(技術革新)を起こすことが必要です。

 一つの取り組みとして、私が常務時代の11年に私塾を始めました。「今の仕事をしながら、何かおもしろいことをしようよ」と呼びかけました。1期が3カ月間で7期まで続き、その卒業生が約200人います。この私塾から、タクシー配車システムや保育園の支援システムなどのアイデアが生まれました。また、今広がっている電気自動車向けの充電ネットワークシステムも私塾の卒業生が取り組んでいます。この私塾は好評で、社員が独自に新事業を企画する「裏・私塾」まで生まれました。これは驚きでした。社内が「こんなこともしていいんだ」という雰囲気になっています。

── 新規事業は。

平岡 医療分野で、地域医療における情報連携を支えるシステムに取り組んでいます。医者、薬局、介護施設などの間で医療情報を共有する仕組みを、第1弾として新潟県・佐渡島で始めています。また、今年4月にスタートした電力の自由化では、新規参入者向けに、契約の受け付けから顧客向けの請求紹介までさまざまな段階がある共通システムを提供しています。

 

◇マンションの電力に強み

 

── 電力自由化以外のエネルギー分野は。

平岡 当社はマンション全体でエネルギー管理・節電を支援する「マンション・エネルギー・マネジメント・サービス(MEMS)」のシステムで7割近くのシェアを持っています。このMEMSを導入する専門業者向けのシステムを提供しています。今は、個別で電力会社と契約している人が多いですが、マンションごとで契約すれば電気代は安くなります。今後、新築マンションはほとんどこれに変わるとみられています。

── リオ五輪では、御社所属のバドミントン選手が活躍しました。

平岡 現地に行き全試合観戦しました。金メダルを取った女子ダブルスの高橋礼華選手と松友美佐紀選手の「タカマツペア」は、決勝の終盤で1点取られるとマッチポイントという場面でも、リスクを恐れずにコートの端を狙い続けました。経営としても、あきらめない姿勢だけでなく、リスクを取って攻めに出たことを見習わないといけません。

 私は社員に向けて、「成功のKPI(評価指標)は失敗の数」として「失敗から学ぼうよ」と呼びかけています。百発百中で失敗を許さない文化から、失敗を許容できるように会社を変革していきます。

 

Interviewer 金山隆一(本誌編集長) 構成=谷口健(編集部)

 

◇横顔

 

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

A システム畑から営業畑に変わり、金融や製造業、流通など一通りの業種を経験しました。その時に学んだのが、金融機関に金融の話を持っていっても勝てないので、異業種の取り組みを紹介することです。

Q 最近買ったものは

A 「ダブル」という車輪付きのロボットです。大人の背の高さくらいの棒の先端にiPadが付いていて、WiFiを通じて遠隔操作できます。専務時代に一度、私の代わりに役員会に出ました(笑)。

Q 休日の過ごし方

A 3連休の時はオープンカーでドライブします。

………………………………………………………………………………………………………

■人物略歴

◇ひらおか・あきよし

石川県出身。金沢大学附属高校、早稲田大学理工学部を卒業後、1980年4月、日本ユニバック(現・日本ユニシス)入社。2002年6月、執行役員。常務、専務を経て、16年4月に社長就任。60歳。

………………………………………………………………………………………………………

事業内容:ITシステム、ITソリューションサービス

本社所在地:東京都江東区

設立:1958年3月

資本金:54億円(単体)

従業員数:4241人(単体)、8103人(連結)

業績(2015年度)

売上高:2780億円

営業利益:125億円

 

(『週刊エコノミスト』2016年10月11日特大号<10月3日発売>4~5ページより転載)