2016年

10月

25日

【英国】ヒンクリーポイント原発

◇承認後も予想される紆余曲折

◇石野なつみ

(住友商事グローバルリサーチシニアアナリスト)

 

 英政府は9月15日、英国南西部のヒンクリーポイントC原発2基の新設計画を承認した。同所には、既に停止しているA原発と2023年に停止予定のB原発がある。英国では約20年ぶりの新設になる予定だ。25年の稼働を予定しており、仏電力会社、フランス電力(EDF)が66・5%、中国の原子力発電会社、中国広核集団(CGN)が33・5%出資する。

 新原発に中国資本の参加を認めたのはキャメロン前首相だった。しかし、英国のEU離脱決定後に発足したメイ政権はこの計画を進めることには慎重姿勢を見せた。

 メイ首相は7月28日、既定路線だった計画を再検討することを発表した。承認の先送りと受け止められ「首相就任以来、初の重要決定」と国内外で注目を集めた。だが、最終的には承認し、9月29日に契約を結んだ。

 この過程で、今日の英国が抱える問題が浮き彫りになった。今年6月の国民投票で国民がEU離脱を選択して以来、英政府は直接投資の誘致に奔走している。そんな中、中国の原発投資は開かれた経済のアピールにもなりうる。一方で、中国の資本参加には後述するようなリスクもある。メイ首相は、ヒンクリーの中国リスクと、中国との戦略的経済関係強化をてんびんにかけ、後者を選択したのであろう。