2016年

11月

08日

特集 家は中古が一番 これだけは気をつけろ!その3 地盤

◇パソコン、スマホで簡単調査

 

鳥取県中部で10月21日に震度6弱を観測した地震は、地表に現れていない「未知の活断層」が起こしたと推定されている。また「大地震は起きない」と言われていた熊本県で、今年4月に震度7の地震が発生し、住宅に大きな被害が発生した。深刻な被害が想定されている南海トラフ地震、首都直下型地震だけでなく、日本ではどこでも大地震のリスクを覚悟せざるをえない。地震発生時に、建物の被害状況に大きく影響するのが「地盤」だ。

 

◇熊本地震で被害集中の地域

 

熊本地震で震度7を2度観測した熊本県益城町は、活断層の近くだったことに加え、ごく浅い軟弱な地盤だったことが住宅被害が集中した要因だとされている。また欠陥住宅の多くは、地盤やその対策に原因があり、事前に地盤について調べておくことが重要なのは間違いない。しかし住宅を購入する前に、自分で詳しく調査をするのは難しい。

 

筆者が自宅を新築するための土地を購入する際、ハザードマップや古地図を調べ、市役所で付近の地質ボーリング調査データを閲覧するなど可能な限り公的な情報を集めたが、かなりの労力がかかった。しかもその情報から地盤の良しあしを判断するには、専門知識が必要だ。

 

そんな状況を打破したのが、地盤調査会社「地盤ネット」(本社・東京都千代田区)だ。2015年1月、住所を入力するだけで無料で地盤リスクを診断する「地盤カルテ」を公開した。今年8月から、スマートフォンの位置情報から診断する「じぶんの地盤アプリ(アンドロイド版)」の提供を始めた。

 

◇公的情報に基づいた診断

 

地盤カルテは、地盤の状態を「地盤改良工事比率」「浸水リスク」「地震による揺れやすさ」「土砂災害リスク」「液状化リスク」の5項目で評価し、100点満点で総合判断を示す。五角形のグラフでどのリスクに弱いのかを視覚的に表現。標高や地形、地質といった情報も提供する。評価の基準となるデータは、国土地理院の土地条件図や、都道府県が公開している土砂災害危険箇所、市町村の浸水想定区域などを基にしている。

 

じぶんの地盤アプリでは、スマホ画面に、80点以上は「緑」、50点超80点未満は「黄」、50点以下は「赤」で、今いる位置の地盤の状態を表示する。同社によると、日本全体で緑が3割、黄が4割、赤が3割を占めるといい、70点以上であればおおむね安全な地盤と評価できるとしている。ちなみに、筆者宅の地盤カルテ判定は80点。公的機関から集めた情報や知識との整合性もありそうだ。

 

山本強社長は「同じ『駅から徒歩10分』でも、地盤の状態は違う。複数の物件から選ぶときに、地盤も判断材料に加えることで、災害に遭う危険を減らせるはず」と話す。

 

◇地震保険でもリスク評価

 

また、地震保険も、地盤ごとのリスクを細かく評価する傾向が見えてきた。損害保険ジャパン日本興亜は、国立防災科学技術研究所と共同で、地震リスクを評価する独自のモデルを開発。来年2月から企業向け地震保険の保険料率を、現在の都道府県別から948地域に細分化する。「地域ごとの評価データは公開しない」(同社)のは残念だが、リスクに応じて保険料が変わるのは当然の動きで、住宅向けや他社にも広がるだろう。

 

これからの住宅選びは、価格などの条件に加えて「地盤で買う」のが常識になるだろう。

 

じぶんの地盤アプリ

https://jibannet.co.jp/jibunnojiban/

 

(千葉利宏・ジャーナリスト)

 

 

 週刊エコノミスト2016年11月8日号

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