2016年

11月

29日

特集:おカネと健康 都道府県ランキング 2016年11月29日特大号


◇全国総合1位は福井県

◇おカネと健康いいとこ取り

 

ないようでありそうな県民性。おカネと健康で都道府県をランキングづけしてみたところ……。

 

種市 房子/花谷 美枝/荒木 宏香(編集部)

 

 県民性はあるのか。世の中にあまたある都道府県ランキングは首位がまちまちだ。統計データの分析を重ねるほど、世間が漠然と捉えている県民性と離れてしまう。

 

 そこでおカネと健康に関連した統計に絞ったうえで、経済力や人口規模など個々の県民の特性が薄まらないよう統計処理した独自の都道府県ランキングで分析した結果、全国総合1位は福井県だった。

 

 世帯別収入、定期預金、貯蓄、有価証券、平均寿命、健康寿命、精神のすこやかさ(のんき度)、自殺率の最新の都道府県データを使用。さらに、世帯別収入に占める定期預金の割合、貯蓄に占める有価証券の割合を独自に算出し、計10項目で数値がよい順番に並べて採点した。世帯収入1位などおカネの項目や健康で上位を占めた福井県が総合1位。続いて、全国1位の項目はないものの全体的に評価が高い神奈川県が2位、続いて奈良県が3位に入った。おカネと医療の相関

 おカネと健康で都道府県ごとに格差が出るのはなぜだろうか。まずは、二つのデータで検証したい。大和総研は、経済指数と入院者・外来者、経済指数と健康意識の相関関係を示したデータを作成した(図1・2)。

経済指数とは内閣府が作成した「都道府県ごとの経済総合力」を示す指数だ。第1〜3次産業の出荷額や販売額、事業所数、従業者数、課税対象所得者のデータを算定式により処理したものだ。数値が高いほど、経済基盤が強いと言える。

 図1では経済指数が低い県ほど入院者、外来患者が増えることが分かる。つまり、経済状況が悪いと疾病にかかる人も多いという相関関係だ。図2では経済指数が高いほど健康意識が高まるのが分かる。

 家庭の年収によって個人間に健康格差が生じることは近年、社会問題化している。同様に、地域間でも経済状況によって健康格差が生じている可能性がある。

 健康格差の研究をしている東京大の近藤尚己准教授は、相関の理由に二つの可能性を挙げる。まず、経済指数の高い地域には、元々元気で収入の高い住民が多いことが考えられるので、入院者は少なく、健康意識も高いという点だ。もう一つは、「経済指数の高い地域は、行政に多くの税収があり、社会福祉に回す金も多いといった理由で、低所得者へも恩恵が行き渡り、社会全体で健康になる可能性」と分析する。ただし、近藤准教授は「これらは一般論。図からは、因果関係の詳細までは分からない」と話す。

 良好な地域経済の恩恵を、地域全体の健康向上に向けられれば、お金と健康に相関関係は見られる。しかし、これらの図からは、相関から離れた県もある。図1では大阪府と秋田県は経済指数が低いが、大阪府は入院者が、秋田県は外来患者が少ないことがうかがえる。図2からは、千葉県や埼玉県が、経済指数は高いのに健康意識はさほど高くないことが分かる。作成した大和総研の鈴木準主席研究員も、「なぜ、これらの府県が相関関係から外れているかは不明だ」と話す。政策では説明し切れない要素こそが県民性と言えるのではないか。このデータは、政策と県民性が複雑に作用した結果と言えそうだ。

 

◇救急搬送にも県民性?

 救急車を呼んだ後、どのぐらいの時間で病院までたどり着けるのか。………