経営者インタビュー(2018年8月以降)
経営者インタビュー(2017年10月~2018年9月)
2018年
10月
02日
火
アルパインと経営統合でソフト強化 栗山年弘=アルプス電気社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── アルプス電気はどのような製品を作り、どんな機器に搭載されていますか。
栗山 もともとは電子部品、スイッチなどを製造していました。1970年代から80年代にかけてテレビやビデオなど日本の家電が広がり、部品メーカーとして成長しました。その後はパソコンやデジタル家電、自動車、スマートフォン(スマホ)のスイッチや人が操作するところに当社の製品が多く使われています。
── 2017年度は営業利益が前年度比62%増でした。好業績の原因と今後の見通しは。
栗山 スマホの市場が拡大し、併せて高性能化、高付加価値化したことで当社の部品が活躍する機会が増えました。エレクトロニクス技術を使った自動車が増え、関連のビジネスも増えています。この二つの要因で業績が伸びました。スマホの需要は頭打ちでしょうが、中の部品や性能は進化するので、当社の市場はまだ伸びる余地があると思っています。
2018年
9月
25日
火
技術力とコスト力を備えた素材づくり 池田哲夫=小松精練社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── 斜陽産業と言われる繊維業界で、業績拡大を続けています。
池田 世界の人口が70億人を超えて80億人に迫っているなかで、衣料や寝具など繊維を使う量が世界で拡大するのは間違いありません。繊維は斜陽どころか世界的にみれば成長産業で、どこで戦うかがポイントになります。
── どこで戦うのですか。
池田 当社が目指しているのは、「どこにでもある材料を、どこにもない材料に変える」ことです。どこにでもある原糸・原綿を使い、どこにもないような魅力的で機能性の高い合成繊維をつくる技術力が特技で、欧州の高級ブランドからも高く評価されています。
2018年
9月
18日
火
自動車用液晶に活路、黒字は必達 月崎義幸=ジャパンディスプレイ(JDI)社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── 2017年度業績は営業損益が617億円、最終損益が2472億円のそれぞれ赤字でした。JDIは中小型液晶ディスプレーで世界シェア首位です。世界一であれば普通は利益が出るはずですが、赤字の原因はどこにあるのでしょうか。
2018年
9月
11日
火
メガネを超えたメガネを作る 田中仁=ジンズCEO

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── メガネ市場の現状と成長戦略を教えてください。
田中 メガネ市場は毎年約4000億円規模で推移しており、年間約1700万本が売れている計算です。当社はコンタクトレンズなどを除くメガネの売上本数だけでみると、トップクラスです。今後は、機能性メガネの開発や普及を加速させる一方で、まだ伸びしろのあるロードサイドにも販売網を広げていきます。
子ども用需要拡大
── 機能性メガネを強化する狙いは。
田中 メガネがファッション性を備えていることは当たり前で、手にとってもらった人に価値を与える特徴のある商品を提供することが重要です。エアフレーム(軽量メガネ)やブルーライトカットメガネなど、新しい発想の商品を開発してきたことがジンズの成長の原動力です。
2018年
9月
04日
火
モンスト依存脱却へeスポーツに勝機 木村弘毅=ミクシィ社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── ミクシィといえばソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の会社として世の中に知られていますが、いまは中身が変わっているようです。事業構成と売り上げを教えてください。
木村 昨年度の売上高1890億円のうち、スマートフォンゲーム「モンスターストライク(モンスト)」を主力とするエンターテインメント事業が93%、SNSのメディアプラットフォーム事業は7%です。私たちは当社を「コミュニケーション屋」と定義しています。私の視点では、ミクシィとモンストは、友人や家族と一緒に使うサービスとしてまったく同じものです。
── 電車では一人でスマホゲームをしている人が多いですが、モンストもそうなのでは?
木村 一人での利用は多いですが、すべてのシーンで一人で遊ぶようにゲームを設計してはいません。ゲームに登場するキャラクターを育てて、友達と会った時に、持ち寄ることを理想的な遊び方として捉えています。バーベキューを楽しむように、ゲームを楽しむ空間を提供することで差別化しています。
2018年
8月
28日
火
自動車分野の技術革新に照準 河田正也=日清紡ホールディングス社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── 繊維会社のイメージですが、売上高に占める割合はすでに1割ですね。
河田 売上高比率でいうと、エレクトロニクスが4割程度で、主力事業になっています。2010年に日本無線を株式公開買い付け(TOB)し、17年に完全子会社化。新日本無線は9月に完全子会社化する予定です。今年3月には、リコー電子デバイスの80%の株式を取得しました。
── なぜ、エレクトロニクス分野に進出を。
河田 日本無線とは、大倉財閥を設立した大倉喜八郎氏が、日清紡の草創期の相談役を務めていたころからの縁です。1955年、2代目の喜七郎氏が日清紡の社長(当時)、桜田武氏に日本無線の経営支援を要請し、日清紡側から経営陣を派遣するようになりました。
2018年
8月
21日
火
付加価値高い鋼材でニーズを先取り 進藤孝生=新日鉄住金社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── 来年4月1日「日本(にっぽん)製鉄」に社名が変わります。狙いは。
進藤 理由は二つあります。子会社の日新製鋼を完全子会社とし、山陽特殊製鋼の子会社化も検討しています。日本の鉄鋼を支えてきた国内有数の企業が新日鉄と住金以外にも入ってきます。社名を並べるわけにはいかないので、包括した名前が必要になってきました。
もう一つの理由がグローバル化です。米国やブラジルでも事業を展開していますが、スウェーデンの特殊鋼メーカーのオバコ社を買収し、インドでもアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)と共同で買収を決めています。海外での事業展開が増えており、我々が日本発祥ということをわかりやすく海外に向けて発信する必要があると判断しました。
鉄鋼業界は世界的なM&A(企業の合併・買収)が進む。2017年の世界粗鋼生産ランキングでは、新日鉄住金は日新製鋼の子会社化により世界3位になったが、首位アルセロール・ミタルの半分にも満たない。
── 鉄鋼業界の市況は。
進藤 大変良いです。15年から16年は、中国が4億トンを過剰生産し、過度に安い価格で輸出していたので大変でしたが、中国政府が生産能力を削減するなど、適正な需給関係になりました。原料も石炭の価格の乱高下がありましたが、落ち着いています。
2018年
8月
07日
火
消費者に響く住生活商品を開発 瀬戸欣哉=LIXILグループ社長兼CEO

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── 衛生陶器を中心とする水まわり関連事業が好調ですね。
瀬戸 水まわり事業には三つの強力なブランドがあります。一つは日本の「INAX」で、その技術は世界トップクラスです。また、ドイツで展開する「グローエ」はマーケティングとデザイン力に優れており、「アメリカンスタンダード」は米国民にとって親しみのあるブランドです。技術力、マーケティング力、コミュニケーション能力をうまく組み合わせることで、世界市場で存在感のあるビジネスを展開できます。
2018年
7月
31日
火
進化した事務機でIoT時代の課題を解決 山名昌衛=コニカミノルタ社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── 2017年度は売上高と営業利益が7%ずつの増収増益でした。要因は。
山名 事務機器の市場環境が厳しく、業界では後ろ向きのニュースがひっきりなしです。紙を扱う事務機器は産業そのものが終わっているという論評もあります。しかし、当社の事務機器は設置台数が増えていて、1年間に生み出されるプリント量も前年比で3%増えています。主力の事務機を含めすべての事業分野で増収増益でした。
── 逆風のなかで、なぜ台数やプリント量が増えるのでしょうか。
山名 コピー機を設置するだけでは、提供できる価値に限界があります。当社の顧客の中小企業の多くには、情報システム部署がありません。そうした企業のIT(情報技術)に関する“困りごと”に対応できるよう、7~8年前から40社以上のITサービス会社の買収を世界中で進めてきました。
2018年
7月
24日
火
「生命保険を通じて健康寿命を延ばす」 稲垣精二 第一生命ホールディングス社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── 人口減少が進み、市場縮小が続く国内市場でどう戦いますか。
稲垣 商品を通じて健康寿命を延ばすことを目指しています。健康寿命が延びれば生命保険の給付が減りますし、契約者も健やかな人生を送れます。
取り組みの一つとして、2018年3月発売の保険商品「ジャスト」で、契約時に健康診断書を提出すると保険料が割り引かれる「健診割(けんしんわり)」を導入しました。健康診断を受けて保険に加入している人とそうでない人とでは、保険の支払い給付率が異なります。
2018年
7月
17日
火
「挑戦と発見」で社会問題を解決 上原弘久=T&Dホールディングス社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── T&Dの特徴は。
上原 国内の生命保険会社として初めて、2004年4月に持ち株会社の「T&Dホールディングス」を設立し、上場しました。中核となる太陽生命、大同生命、T&Dフィナンシャル生命の3社はそれぞれの市場で独自性と専門性を発揮していることが最大の強みです。
── 3社のターゲットはどのような市場ですか。
2018年
7月
10日
火
社名変更でグローバル化へ総仕上げ 島村琢哉=AGC社長

interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── 7月1日にAGC旭硝子からAGCに社名を変更します。狙いは。
島村 ガラス会社のイメージが強いですが、実は化学やセラミックス事業も歴史は長い。2002年から進めているグローバルグループ一体経営の総仕上げと考えています。旭硝子の頭文字をとったAGCはアドバンス(前進・進歩した)、ガラス、ケミカル(化学)、セラミックの頭文字でもあります。
── 歴史ある社名を変更することに抵抗はありませんか。
島村 110年前に日本の近代化に必要なのがガラスの技術でした。そうした歴史を振り返り、創業者の思いを社員一人ひとりが考え直しました。それは、世の中に変化が起こるときに必要なもの、具体的には素材やソリューションを提供することです。社名が変わっても、ぶれない軸を持ち続けます。
2018年
7月
03日
火
住宅ローン業界のコンビニ目指す 浜田宏 アルヒ会長兼社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── アルヒ(ARUHI)の特徴を教えてください。
浜田 国内最大手の住宅ローン専門金融機関です。住宅金融支援機構と提携して提供している最長35年の全期間固定金利住宅ローン「フラット35」の2017年度の取扱件数は業界第1位で、2010年度から8年連続でトップシェアを守っています。
── どこに強みがありますか。
浜田 全国130店舗を構え、地元の不動産会社と良好な関係にあることが強みです。ロボティクス(ロボット工学)やデータマイニング(ビッグデータを分析し、相関を見つけること)といった最先端のIT(情報技術)を駆使し、審査や事務手続きのスピード化を実現しました。
2018年
6月
26日
火
二輪の戦略転換で過去最高益 日高祥博=ヤマハ発動機社長

Interviewer 藤枝 克治(本誌編集長)
── バイクとモーターボートの会社というイメージです。
日高 売上高ベースで一番大きいのは二輪事業で1兆円強、小型船舶用エンジンを中心としたマリン事業が3000億円超です。ただし、産業用ロボットや電動アシスト自転車などそれ以外の事業でも約3000億円の売り上げがあり、2017年12月期の全体の売上高は約1兆6700億円でした。
2018年
6月
19日
火
リアル店舗の強みを磨く 高柳浩二=ユニー・ファミリーマートホールディングス社長

Interviewer 藤枝 克治(本誌編集長)
── 4月に伊藤忠商事が子会社化することを発表しました。
高柳 伊藤忠グループの中核企業として位置づけられたのは光栄なことです。私の知る限り、社内でネガティブに受け止めている人はいません。私自身も、伊藤忠を使い倒そうという気持ちは変わりません。
── 伊藤忠商事の鈴木善久社長は、ネット通販がコンビニの競合になると指摘していました。
高柳 米アマゾンが既存事業者に多大な影響をもたらす「アマゾン・エフェクト」は侮れませんが、若干、過剰反応に思えます。日本のeコマース(電子商取引)のシェアは、成長しても流通市場の3割程度が限界で、7割はリアル店舗が握るとの予測もあります。ネットの弱みはリアル店舗を持たないこと。だから買収を検討するわけで、リアル店舗の流通業は自信を持ったほうがいい。コンビニは店舗と消費者の間に残された最後の距離を埋める「ラストワンマイル」の窓口としてとても有効です。
2018年
6月
12日
火
成長の原動力はIoTや自動運転 谷本秀夫=京セラ社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── 2018年3月期決算は売上高が過去最高を更新し、好調でした。
谷本 主力の部品事業が市場環境に恵まれ、好運でした。半導体製造装置の需要が増加し、産業・自動車用部品分野では世界市場で過去最高の約6兆円の出荷額となりました。
── 需要増にどう対応しますか。
谷本 積極的に増産投資を行っています。鹿児島・国分工場の新棟は18年10月に稼働予定で、滋賀・八日市工場の増設も進めている。米国でもワシントン工場、ノースカロライナ工場で増設に取り組みました。売上高で前年比20%以上の成長の継続を目指します。
2018年
6月
05日
火
独自の化学製品で世界と渡り合う 山本学 デンカ社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
「電気炉により化学製品を製造する」が由来の「電気化学工業」から2015年に「デンカ」へと改称。カーバイド(炭化カルシウム)と石灰窒素肥料の製造を原点に、耐性に優れた合成ゴム「クロロプレンゴム」や電子部品材料、ワクチンなど製品は多岐にわたる。
── どんなものを作っていますか。
山本 1915年に設立され、石灰窒素肥料の生産から始まった会社です。石灰窒素の製造を通じてカーバイドの技術を磨き、誘導品(化学反応により生まれる製品)の製造を始めました。カーバイドを水と反応させるとアセチレンができ、ここからさまざまな製品を作っています。
一番代表的なのがクロロプレンゴムです。耐熱性や耐油性に優れ、産業機械の動力伝動ベルトなどに用いられる合成ゴムです。日本では当社が初めて製造し、世界シェアは40%でトップです。
2018年
5月
29日
火
派手さはなくとも「お客様目線」貫きたい 川端克宜 アース製薬社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
── アース製薬と言えば、殺虫剤の会社というイメージがあります。
川端 入社した24年前は殺虫剤の売り上げが8割から9割といっても過言ではありませんでした。今では単体で5割、グループでは3割程度です。
◇殺虫剤から「虫ケア」へ
殺虫剤「アースジェット」やゴキブリ駆除の「ごきぶりホイホイ」で有名なアース製薬は2017年10月、殺虫剤の呼称を「虫ケア用品」と改めた。
2018年
5月
22日
火
伝統を大切にしつつ挑戦 迫本淳一 松竹社長

── 松竹の一番のイメージは「男はつらいよ」などを製作した映画会社です。製作のスタンスは。
迫本 製作力を強化し、他には作れないものを作ることに基軸を置いています。最近では「8年越しの花嫁」がヒットしました。具体的にはオールファミリーで見られるような、温かい気持ちになれるようなものを作っていけたら、と考えています。
2018年
5月
15日
火
デジタル技術で新商品・サービス続々 西沢敬二 損害保険ジャパン日本興亜社長

──少子高齢化やクルマ離れ、自動運転車の開発の進展などによって、主力の自動車保険市場も変化が予想されます。
西沢 当社の売上高にあたる正味収入保険料約2兆円のうち、約1兆円を自動車保険が占めています。将来的には、現在の半分に減ることを念頭に置いています。
減少の予想される約5000億円分の売り上げから得られる収益を生み出すだけの事業を今から仕込んでおく必要があります。
ただし、対応にあたっては時間軸も大事です。今やるべきことと、中長期的にやるべきことは分けて考える必要があります。例えば、完全な自動運転車が開発されて、交通事故がなくなるような世の中が実現するのはまだ先のことです。国内の自動車保有台数は約8000万台前後。自動運転車が開発され、販売台数が年500万台で推移したとしても、自動運転車に完全に入れ替わるには15、16年はかかります。
2018年
5月
08日
火
業界トップの規模はお客さまの信頼の証し 清水博 日本生命社長

── 今年4月から保険料率を改定し、多くの商品で保険料を値下げしましたね。
清水 今回、11年ぶりに保険料算定の基準となる予定死亡率を引き下げました。この11年間の傾向とデータをしっかり分析し、確信を持って死亡率を引き下げたので、定期保険や終身保険など保障性商品の保険料を値下げしようと考えました。定期保険では最大20%程度、保険料を引き下げており、平均の値下げ幅は12%程度です。
2018年
4月
24日
火
製造小売業から情報製造小売業へ 柳井正 ファーストリテイリング会長兼社長

Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)
─ 現在の競合相手はどこか。
柳井 製造小売業(SPA)大手のZARA(ザラ)、H&M、ギャップに加えて、スポーツメーカーのナイキ、アディダス、それからネット通販のアマゾン、ゾゾタウンなどだ。業界の垣根がないシームレスな競争になっている。そもそも消費者がお金を出す財布は一緒だ。スマートフォンを買うか、服を買うか、または他の物を買うかという状況で、魅力ある商品を作ることが一番大事なことではないか。
2018年
3月
13日
火
建設事業以外でも社会貢献を 今井雅則 戸田建設社長

── 戸田建設の強みは。
今井 慶応義塾図書館や早稲田大学の大隈講堂などに携わってきた歴史があり、学校に強いと言われます。また、病院など医療福祉についてもたくさんの実績があります。
── 学校や病院に強い理由は。
今井 経営方針として「企業活動を通じて社会の発展に貢献する」を掲げています。学校については、大学の実績によって系列の高校などにも広がっていきました。病院も、事務長などの横のつながりがあることで、増えています。施工実績と共に、現場の社員も経験を積んでおり、より使いやすいものを提案できるようになっていることが大きいですね。
2018年
3月
06日
火
ニーズかなえて世界トップシェア 池田和明 ミマキエンジニアリング社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── ミマキエンジニアリングの特徴は。
池田 業務用インクジェットプリンターで世界トップシェアメーカーです。インクジェットは印刷技術の中で唯一、プリントする対象物と接触しません。ガラスや金属、プラスチックなど素材はもちろん、凹凸のあるものや立体でも印刷ができるという大きなメリットがあります。
2018年
2月
27日
火
「薬が効く」原点は「患者さんの悩みを聞く」 杉浦広一 スギホールディングス会長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── スギ薬局の特徴は。
杉浦 42年前、26歳で創業したときの「地域の医療に関わる」という強い理念に基づき、どう貢献するかを重視しています。今で言う地域包括ケア(医療や介護、生活支援など地域で総合的に支援)、在宅医療に携わりたいという思いは変わっていません。
2018年
2月
20日
火
幅広い部品群でクルマの激変を好機に 森谷弘史 カルソニックカンセイ社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
写真撮影 蘆田剛
── 主力の自動車部品は。
森谷 カルソニックとカンセイという大きな部品メーカーが合併してできたため、非常に幅広い製品群を持っているのが強みです。最大の柱はコックピットモジュールなど内装事業で全体の3割強を占めます。
次いでラジエーターなど熱交換器とエアコンなど空調器をまとめたサーマル(熱)関連が3割弱、速度メーターなどの計器類を含めたエレクトロニクス(電子部品)関連が2割、さらにマフラーなど排気関連が2割という構成です。今後は電気自動車(EV)化の流れもあり電子部品が増えていくでしょう。
2018年
2月
13日
火
木の恵みを人の暮らしのそばへ 市川晃 住友林業社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── 住友林業の特徴は。
市川 1691年、別子銅山(愛媛県)の採掘に必要な備林を整備したことから歴史が始まりました。明治に入り、銅の精錬による煙や伐採により、山が荒廃してしまった。見かねた別子鉱業所支配人の伊庭貞剛が1894年に大造林計画を立て、多い時には年間200万本以上を植えました。当時では世界でも例のない大規模な造林事業です。
それ以来、サステナビリティー(持続可能性)を強く意識してきました。「保続林業」という考え方です。CSR(企業の社会的責任)や「環境」なんて、言葉すらなかった時代から、社会貢献として植林を続けてきました。「国土報恩」の精神です。
2018年
2月
06日
火
戸建て住宅でも1位を目指す 芳井敬一 大和ハウス工業社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── 2017年11月、社長に就任しました。
芳井 昨年9月に突然、打診されました。樋口武男会長に「ここまで来たら逃げるなよ」と言われて、考える余裕はありませんでした。ただ、事業を進めていく上で自分が障害になってはならないという思いはありました。
2018年
1月
30日
火
日本一暮らしやすい路線に 星野晃司 小田急電鉄社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── 小田急電鉄の特色は。
星野 120・5キロの路線距離に、東には世界最大のターミナルである新宿、西には日本有数の観光地である箱根、江ノ島を抱え、ビジネスと観光のターミナルを持っています。平日は新宿へ向かうビジネス客、休日は箱根や江ノ島に向かう観光のお客様がいます。そこをブランドでもある特急専用のロマンスカーでつないでいるのが一つの特徴です。
2018年
1月
23日
火
「モーターと制御」を主力に産業ロボも展開 小笠原浩 安川電機社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── 主力のサーボモーターはどのようなものですか。
小笠原 サーボモーターは、モーターの回転を決められた位置に正確に「止める」ことが得意です。当社のサーボモーターは、35キロメートル以上ある山手線1周に例えると、誤差2センチ内の位置に止める精度を持ちます。競合はいますが、当社のサーボモーターは精度・品質が高いことから世界シェアトップです。
2018年
1月
16日
火
ニーズに合わせて革新的な生命保険を提供 中里克己 東京海上日動あんしん生命社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── 東京海上日動あんしん生命はどんな会社ですか。
中里 1996年の保険自由化によって損害保険、生命保険が相互に参入できるようになり、東京海上グループとして生命保険をスタートしました。創業時には「おかしいな、人間が生命保険に合わせている」というメッセージを掲げ、お客さま本位の生命保険のあり方を追求するコンセプトを打ち出しました。もう一つ、革新的な商品・サービスを提供することも創業の精神として取り組んでいます。
2018年
1月
09日
火
鉄道、流通、不動産で九州を元気に 青柳俊彦 JR九州社長

── 国鉄民営化から30年がたちました。
青柳 本州の3社と比べ、JR九州は鉄道事業が赤字の会社だったため、いかに効率よく運営し、鉄道に乗っていただくか、どういうふうに利用していただくかが課題でした。一番需要が高かった福岡─熊本間という本来ならドル箱路線が当時は高速道路に負けていた。鉄道事業本来のあるべき姿に戻らないといけない、というのが30年前のスタートでした。
2017年
12月
26日
火
物流システム「マテハン」で世界トップ 北條正樹 ダイフク社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── マテリアルハンドリングという聞き慣れない事業を展開しています。
北條 マテリアルハンドリング、略してマテハンという言葉を定義付ける前に、どんな産業に使われているかを紹介します。まず、私たちがマテハン事業を始めたのが、自動車の搬送システムです。完成車メーカーの工場で、生産ラインの各工程で生産中の自動車を運ぶものです。次に手がけたのが自動倉庫です。
2017年
12月
19日
火
高い品質と営業力で特許切れ克服 眞鍋淳 第一三共社長兼最高執行責任者(COO)

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
2017年3月期通期に国内医療用医薬品売上高で、競合他社を抑え初の首位を達成した第一三共。一方、連結売上高は前年同期比3・2%減の9551億円となり、今後は特許切れとなった主力の高血圧症治療剤「オルメサルタン」に続く収益の柱の育成が急務だ。
── 国内医療用医薬品は何が好調ですか。
眞鍋 血液を固まりにくくして血栓の生成を予防する抗凝固剤「エドキサバン」が好調に売り上げを伸ばしています。直接経口抗凝固薬(DOAC)市場におけるエドキサバンの国内売り上げシェアは、17年9月末時点で23・5%を獲得しました。特に、主なターゲットとしている新規患者の処方箋数シェアではトップの同38・6%まで拡大しています。
── 好調の理由は。
眞鍋 当社のエドキサバンが高品質であることに加え、医薬情報担当者(MR)の高い評価と営業力の強さがあります。現在日本では、代表的な抗凝固剤として「ワーファリン」が圧倒的な処方箋数シェアを占めていますが、ワーファリンは納豆が食べられないなど食べ物に制限があるほか、投与量の調整も必要です。
2017年
12月
12日
火
「M&Aは成功するもの」を根付かせる 三宅卓 日本M&Aセンター社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── 社名にM&A(企業の合併・買収)とありますが、どんな業務に取り組む会社ですか。
三宅 中堅・中小企業のM&Aの仲介を手がけていますが、経営者の意識が変わりました。10年前は譲渡側の社長にとって、会社の譲渡は抵抗感があり、敗北者のイメージでした。しかし現在は「会社の存続のため相乗効果がある会社に渡した」と評価されるようになりました。我々が譲渡を勧めても抵抗がなく「どんなところに譲渡したら社員が幸せになれるか」と質問されます。
2017年
12月
05日
火
ロボットですしを大衆化し、コメ消費量を増やす 小根田育冶 鈴茂器工会長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
すしロボットをはじめとした米飯加工機の製造・販売大手。すしブーム、海外の和食ブームを背景に2017年3月期の最終利益は8億2100万円で2期連続で最高益を更新した。
── 米飯加工機が好調です。
小根田 人手不足で機械のニーズが拡大していることが大きいです。単体売上高の5割を占める主力のすしロボットだけでなく、ご飯を盛り付けるシャリ弁ロボもスーパーや外食産業向けによく売れています。
2017年
11月
28日
火
健康データで医療費削減目指す 谷田千里 タニタ社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── 創業当初から体重計を作っていたのですか。
谷田 1923年にできた前身の会社は健康とは全く逆の商品、たばこのケースを作っていました。その後44年に祖父(故・五八士・元会長)がOEM(相手先ブランドによる受託生産)でトースターなどを作り、59年に体重計の製造を始めました。「ヘルスメーター」と銘打って売り始めたのは当社が最初です。祖父は体重計の普及を図り、商標は取らなかったようです。体脂肪計などでも同じように商標は登録していません。
2017年
11月
21日
火
ケーブル網やデータセンターに回帰 庄司哲也 NTTコミュニケーションズ社長

Interviewer 金山 隆一(本誌編集長)
── 現在の経営環境は。
庄司 1999年に当社がNTTの子会社として誕生してから18年がたち、通信業界を巡る競争関係は変わっています。当社を含めた通信企業が展開するネットワークの上で、グーグルやアマゾンなどのIT(情報技術)サービスが展開されており、米国のシリコンバレーを中心に急成長するIT企業が増えています。
こうしたなかで、我々は原点に戻って、ネットワーク網やデータセンターなど物理的なインフラを持つ強みを生かしています。
2017年
11月
14日
火
野菜の国産化と厨房の自動化を追求 米浜和英 リンガーハット会長兼CEO

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── 2017年2月期決算では最終(当期)利益が3年連続で過去最高と業績が好調です。
米浜 健康志向や安全・安心という意識が高まる中で、国産野菜を使って手ごろな価格で長崎ちゃんぽんを提供していることが受けているのではないかと思っています。
05年に日本マクドナルド出身の八木康行氏を社長に据えて会長に退いたが、業績が低迷し、08年にトップとして復帰した。
── 外部から社長を呼んだ理由は。
米浜 生え抜きの社員が社長をするのはまだ早いと思っていました。社員は私しか経営者を見ていないので、外部の経営者が来れば勉強になると思いました。
2017年
11月
07日
火
防災設備を通じ人命と財産を守る 山形明夫 ホーチキ社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── 社名から製品が想像できますね。
山形 防災を通じて「人命と財産を守る」という経営理念を掲げ、火災報知機のほか、消火設備を作っています。1918年4月2日に設立し、来年100周年を迎えます。火災報知機は住宅用警報器の設置義務化が2006年に始まり、テレビコマーシャルも流しましたので、知名度はあります。
── 野球場でよく看板を見ます。
山形 知られていませんが、ドーム球場の消火設備「大規模放水銃システム」を開発しました。火災を感知したら燃えているところを目がけて放水するもので、第1号は東京ドームです。他に名古屋、大阪の各ドーム球場、東京ビッグサイトや幕張メッセといった国際展示場などに設置しています。情報通信分野ではセキュリティーシステムも手がけています。
2017年
10月
31日
火
次世代車市場の「台風の目」になる=小谷進・パイオニア社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── オーディオのイメージが強いパイオニアですが今の事業領域は。
小谷 1938年にホームオーディオ向けのスピーカー事業で創業してから、2018年1月で80周年を迎えますが、現在は車載機器事業に経営資源を集中しています。
主力商品は「カーオーディオ」と「カーナビ」で、比率は金額ベースで6対4です。この二つで全事業の8割を占めます。それぞれアフターマーケット(市販)と自動車メーカーのブランドで生産するOEM(受託生産)があります。残りの2割はCDやDVDなど「光ディスクドライブ」や、クルマ部品の「ファクトリーオートメーション」(自動製造ライン)などを手がけています。
2017年
10月
24日
火
良い薬を安く作り、医療財政を救う パトリック・リード ペプチドリーム社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
世界の製薬大手が次世代の創薬技術として注目する「特殊ペプチド」。体内に投与しても酵素で分解されにくく、狙ったターゲットに強く結合する特性がある。従来の創薬技術では開発が困難だった病気の治療薬を作れる技術と期待されている。
── どんな会社ですか。
リード 菅裕明・東京大学教授(同社取締役)が開発した技術を実用化するために2006年に設立した東大発のバイオベンチャーです。最初の10年で創薬技術「PDPS(ペプチド・ディスカバリー・プラットフォーム・システム)」を確立して製薬会社と契約を結びました。これからの10年は実際に薬を作る段階に入ります。そういうタイミングで、研究開発部門の責任者である私が社長に就任しました。
2017年
10月
17日
火
「在庫持つ」経営で石油ファンヒーター日本一 吉井久夫 ダイニチ工業社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)
── 家庭用石油ファンヒーターで国内トップです。
吉井 自慢するつもりは毛頭ないのですが、国内主要家電量販店の販売台数が10年連続1位で、シェアは50%を超えています。現在、年間約100万台を生産しています。ただ、1位を狙ったのではなく、より良くしていった結果だと考えています。
── コロナやパナソニックなどがひしめく市場でどう戦うのですか。
吉井 お客様にとっての品質や価格、補償はもちろん、当社が卸す流通業者にとっての商品価値も高めています。