◇唐突な発言で市場は混乱 驕りがみえたバーナンキ会見
小野亮
(みずほ総合研究所シニアエコノミスト)
「議長。私は物事をはっきりさせるために自分の質問時間を費やすのは嫌いなのですが、今年後半に徐々に購入を減らすとか、失業率が7%になる来年には終わるとか、一体何の話ですか?」
これは6月19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に開かれたバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長による記者会見で、最初に質問に立った経済ニュース専門局CNBCの著名アンカーが発した言葉である。
金融政策を決めるFOMCは事前の予想通り、FRBが昨年9月から実施している大規模な証券購入(QE3)を従来のペースで続けることを決定し、声明文にもそう書かれていた。しかし、記者会見でバーナンキ議長がQE3の今後について具体的に言及し、先の質問につながったのである。
議長の説明は唐突かつ位置づけも曖昧で、FOMC関係者とのインタビューを数多くこなしてきたメディア関係者ですら困惑せざるを得なかった。CNBCアンカーの発言は、金融市場参加者全員の気持ちを代弁したと言っても過言ではない。………