◇76年ぶり外資に開放へ
伊原賢
(石油天然ガス・金属鉱物資源機構上席研究員)
豊富な埋蔵量を誇るメキシコの油ガス田が76年ぶりに外資に開放されようとしている。メキシコはラテンアメリカ最大の石油産出国であるが、1938年以来メキシコ国内の石油ガス生産は全て国営石油会社ぺメックスだけが行ってきた。
メキシコ憲法27条では、国家だけが国内の石油ガス開発に従事できると明記されている。これは日本で言えば憲法9条に匹敵する重みがあり、「聖域」とも言える条文であった。
しかし、ぺメックスの収益の半分がメキシコ政府の財源に充てられているのが現状であり、新規開発油ガス田へ回す投資資金が圧倒的に不足している。新規の石油ガス田が開発されなければ、石油生産量は2020年に向けて3割減退していくことが予想され、メキシコ政府の財政収入にも多大な影響を与えかねない。そうした経緯もあり、13年12月20日にぺニャニエト大統領が、メキシコ憲法の部分改正を含むエネルギー改革法案に署名して公布を行った。憲法27条が対象となっていたのは言うまでもない。………