◇本当は怖い「2%インフレ」の不都合な世界をここに示そう
加藤出
(東短リサーチ・チーフエコノミスト)
政府・日銀は、物価が毎年2%ずつ上がる経済を実現させようとしている。しかし、これまで我々は物価があまり上がらない世界に長く浸ってきた。
日本のインフレは、90年代前半まで緩やかだった。90年代後半をピークに、その後は非常に緩やかな物価下落に入る。
そういった状況にあった日本経済が毎年2%の物価上昇に短期間で移行すると、さまざまなショックが起きる恐れがある。筆者は日本経済がデフレのままでよいと主張しているのではない。だが、2%インフレが達成されても、それだけではバラ色とはならず、特に中低所得層の生活への打撃は大きくなり得ることを覚悟する必要があると考えている。
欧米でもそういった問題が近年、噴出していることを拙著『日銀、「出口」なし!』で論じたが、ここで改めてポイントを整理してみよう。………