◇湾岸キャリア躍進で変わる勢力図 アライアンス超えた戦略が勝負
緒方信一郎
(航空・旅行ジャーナリスト)
航空業界は新しい時代に入っている。グローバル化を進めるフルサービス・キャリア(FSキャリア=サービス重視の航空会社)の間で大きな変動が続いているのだ。
1997年のスターアライアンス設立に始まった世界の航空会社提携(航空アライアンス)は、その後、紆余(うよ)曲折を経てワンワールド、スカイチームを合わせ三つのグループに集約されたが、いずれも欧米キャリア主導で進められてきた。
しかし、2001年9月11日の米同時多発テロ以降、FSキャリアは燃料価格の高騰や不安定な世界経済、イベントリスク(感染症やテロなどの突発的な事象により需要が激減する経営リスク)などの影響による経営不振に苦しんだ。ただ、ここ数年は増大する航空需要も手伝って、多くのキャリアが比較的良好な業績を残している。………