◇「水素インフラ整備を後押しするFCVは普及しないと意味がない」
構成=谷口健
(編集部)
いよいよ燃料電池車(FCV)「ミライ」を市販するトヨタ。同社で燃料電池車の開発を率いる田中義和氏に話を聞いた。
── 燃料電池車市販の意義は?
■燃料電池車のような新しい車は、インフラがないと走れない。いつも車の普及が先かインフラが先かという議論になるが、水素ステーション整備を後押しするために少しでも早く出すという思いがあった。
── 最初1年の国内販売目標が400台。
■少ないと思われるかもしれないが、3年や6年で回収するリース販売ではなく、売り切りで出す。他のトヨタ車と同じものと思ってくださいということだ。本気で燃料電池車を普及させるという一つの形であるのは間違いない。
── 車両価格は税込みで723万6000円。国から202万円の補助が出るため、実質負担額は520万円程度となる。
■環境を変える車なので、普及しないと意味がない。700万円台が普及価格だと思わないが、1000万円や1500万円なら選択肢にすら入らない。また、政府の補助をいただくことで500万円台になる。水素ステーションが多くないなか、不便な思いをかけるかもしれないが、価格的には買いたいと思っていただけるぎりぎりの線にあると思う。………