◇スーパー円安時代に突入 マネーフローと投資はこう動く
竹中正治
(龍谷大学教授)
1ドル=120円前後の円安・ドル高は、日米のインフレ率を調整した実質相場指数で見ると1980年代前半に250円を超えた「スーパードル高時代」の水準に等しい。まずこの点を説明しよう。
長期的には外国為替相場は二つの通貨のインフレ率の格差で決まる。
これが相対的購買力平価(PPP)原理の考え方である。通貨の価値とは当該通貨の商品に対する購買力であり、インフレ(物価上昇)とは購買力の減少だ。したがってインフレ率の高い通貨は低い通貨に対して長期的には減価する。
筆者が国際通貨研究所のチーフエコノミストだった2008年から、同研究所のウェブサイトで、ドル・円、ユーロ・ドル、ユーロ・円の3銘柄について、3種類の物価指数による相対的購買力平価の掲載を始めた。「国際通貨研究所」と「PPP」の二つのキーワードですぐにたどり着けるサイト(http://www.iima.or.jp/research/ppp/)で、これを見れば、市場実勢の為替相場が短期・中期ではPPPから乖離(かいり)しながらも、長期的にはPPPが示すトレンドに回帰する姿がわかる。………