◇アジア版EUスタート 関与深める日本と中国
酒向浩二
(みずほ総合研究所アジア調査部上席主任研究員)
2015年は、東南アジア諸国連合(ASEAN)に対する世界の関心が高まる一年となりそうだ。
15年末に控えるASEAN経済共同体(AEC)の発足が、人口約6億人を擁する巨大市場としての魅力を一層高めることが確実視されるためである。
AECは域内の関税撤廃に加えて、サービス貿易の自由化、人の移動の自由化を目指しており、15年後半に行われるASEAN首脳会議の場で、発足が宣言される予定だ。
日本は12年秋の日中関係の緊張化以降、国際展開先として官民挙げてASEANを最重視するようになっている。
ところが、日本が重視するASEANで、ライバルとして中国が急浮上。その伏線は13年10月に行われた習近平国家主席と李克強首相のASEAN歴訪であった。………