◇相場を動かす要因1 日銀追加緩和第3弾
◇揺るがない日銀の「2%原理主義」 10月前に昨年同様の追加緩和か
石井純
(三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ債券ストラテジスト)
2015年、アベノミクスの第一の矢である「大胆な金融政策」はいよいよ正念場を迎える。日銀が政府との共同声明(13年1月22日「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」)に基づき掲げている「2年で2%」という物価安定目標の達成期限にあたるからだ。そこで、14年10月31日に実施された追加緩和を総括し、今年の金融政策運営を展望する。
昨秋の追加緩和は市場参加者にとって予想外のタイミングだったため、大きな驚きを持って受け止められた。事実、当初は「サプライズ緩和」や「電撃緩和」などと称された。しかし、その経緯を振り返ると、必然の帰結だったと捉えられる。
◇躊躇なく「必要な調整」
黒田東彦日銀総裁はかねがね、「目標達成が困難になれば、必要な調整を躊躇(ちゅうちょ)なく行う」と表明してきた。14年9月11日の安倍晋三首相との会談後には、「物価目標の達成に困難を来せば、追加緩和だろうと何だろうと躊躇なく調整する」とまで踏み込んだ。………