◇特集:世界金融不安
◇行き場を失い溢れるマネーが国際金融市場を不安定にする
濱條元保
(編集部)
米国は今年半ばから秋までに、利上げに踏み切れるか──。これが、世界の市場関係者の最大注目点だ。
昨年後半は、6月の利上げが大方の市場予想だった。しかし、年初に米国を訪問した野村総合研究所の井上哲也金融ITイノベーション研究部長は「原油安やドル高で低インフレ傾向を強めると同時に、賃金の上昇も鈍いことから半年前に米国を訪問した時よりも、利上げ派の説得力が失われていた」と、語る。
米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の動向が注目される。
ピックアップ
経営者:編集長インタビュー

◇杉原博茂 日本オラクル社長
◇クラウドで国内トップ目指す
業務用のデータベース管理ソフトウエアなどを手がける日本オラクルが、2020年までにクラウド事業で国内トップになるという目標を掲げている。グローバルでは、米オラクルの売上高全体の5%に上昇し、米国本社も「クラウドナンバー1」を掲げている。日本オラクルの現在の売上高は、7割以上がソフト関連で、15%前後がサーバーやストレージ(データ記憶装置)などのハードウエア。主力のソフト製品を、インターネット経由でサービスを提供する「クラウド」にかじを切ろうとしている。
ワシントンDC

◇地政学リスクの高まり受け 動く米国のエネルギー政策
須内康史
(国際協力銀行ワシントン首席駐在員)
2015年の年明け1月、ワシントンでエネルギー分野においていくつかの注目される動きが見られた。
まずは米国とカナダを結び原油を輸送する「キーストーンXLパイプライン」建設を巡る議会の動きだ。米国では、1月6日に第114議会がスタートしたが、すぐさま9日に下院で、同パイプライン建設を大統領の承認なしに認める法案が可決された。続いて上院では、12日に議事進行妨害(フィリバスター)を覆すのに必要な60票以上の賛成を得て、同パイプライン建設法案の審議を認める手続き上の議案を可決した。上院で審議が進められている。