藻谷俊介
(スフィンクス・インベストメント・リサーチ代表取締役)
米国セントルイス連銀のウェブライブラリーで戦前の統計データを閲覧していた時、1920年代前半に早くも季節性(後述)を除去したデータがあるのを見つけ、感動のあまりうなってしまった。今日「季節調整法」と呼ばれる統計分析法の知られざるルーツだったのだ。
20年代と言えば米国でビジネススクールが誕生した時期とも重なる。科学的に経済・経営を分析することで、世界大国にのしあがっていく米国の意気込みを感じる史料だった。
ほとんどの経済データには「季節性」と呼ばれる固有の波動があって、昔から分析者を悩ませてきた。街で得られたデータをそのままグラフにすると大きくぶれ、判断に苦しむことになる。この例は大型小売店販売額なので、2月と9月が低調で、12月が大きい。こうした特性のことを「季節性」と呼び、季節性を取り除くために調整したものを「季節調整値」と言う。………